年収を、少し盛って言ってしまった日のこと
ぶっちゃけ、その場の空気に押されて、自分の年収を実際より少し高く言ってしまった——そんなやらかしを、こっそり引きずっている人は、思っているより多いです。
たとえば、こんな場面です。同窓会や飲み会で「で、今どれくらい稼いでるの?」と聞かれ、本当の数字を言うのが急に恥ずかしくなって、少しだけ上に盛ってしまう。婚活やマッチングで、相手によく見られたくて、丸めた数字を口にする。言った瞬間は乗り切ったつもりでも、家に帰ってから「なんであんな見栄を張ったんだろう」と、布団の中で自分を持て余す。
それは、人生が終わるような出来事ではありません。でも、「自分はなんて見栄っ張りなんだ」という自己嫌悪と、また同じ人に会ったときにつじつまが合うだろうかという不安が、長く尾を引くやらかしです。
そういう失敗を、誰にも言えずに一人で抱えている人は、決して珍しくありません。
この記事は、「嘘をついたなんて最低だ」とも「そのくらい誰でもやる」とも言いません。誰が正しいかを決める記事ではなく、似た経験をした人が、自分の気持ちを整理するための記事です。
この話が、人に言いにくい理由
「年収を盛ってしまった」と口に出すのは、意外と言いにくいことです。
言えば、「それは嘘でしょ」と、まっとうに指摘されそうで、わざわざ自分から話す気になれない。お金に余裕がある人の前では、なぜそんな見栄が必要だったのか不思議がられそうで、口にしづらい。逆に「みんなやってるよ」と軽く流されると、自分が感じている後ろめたさが、雑に扱われたように感じてしまう。
しかも、お金の話そのものが、もともと人前で扱いづらいテーマです。その上で「本当より高く言った」と認めるのは、二重に気が引ける。だからこそ、はっきり言葉にできず、胸の奥にしまい込むことになります。
だから、このやらかしは表に出にくいのです。出にくいだけで、似た経験をしている人はあちこちにいます。
公開投稿や声で、よく見る声
統計ではありませんが、見栄や年収をめぐる公開投稿を読んだ範囲では、似た声が繰り返し見られます。
「同窓会で、つい年収を上に言ってしまって、後から気まずくなった」 「相手によく見られたくて、丸めた数字を言ったら、自分が小さく感じた」 「一度盛ったら、次に会うときの数字を覚えていないといけなくなった」 「言った直後より、家に帰ってからのほうが、ずっと落ち込んだ」
(編集部メモ: これは公開投稿を読んだ範囲で目立った声であり、統計ではありません。)
年収を少し盛った気まずさは、仕事の場面や、恋愛・婚活の相談の中にも、形を変えて出てきます。自分だけの大失敗に見えて、似た経験はあちこちにあります。
立場別に整理してみる
ひとことで「年収を盛った」と言っても、中身はかなり違います。
A 空気押され型 — その場の流れで聞かれ、本当の数字を言いづらくて、とっさに上に丸めた。 B よく見られたい型 — 相手に好印象を与えたくて、意識して高めに伝えた。 C 比較回避型 — 周りと比べられるのが嫌で、見劣りしないラインまで盛った。 D 守り型 — 本当の数字を言うと心配されたり詮索されたりするのが嫌で、ぼかすつもりで盛った。 E くせ型 — 見栄を張ること自体が習慣になっていて、無意識に大きく言ってしまう。
同じ「盛った」でも、Aの人は一度きりで済むことが多いですし、Eの人は少し立ち止まって考える値打ちがあります。自分がどこに近いかを見るだけでも、少し整理がつきます。
よくある誤解
「年収を盛る=性根が嘘つき・信用できない人」と結びつけてしまう人がいますが、必ずしもそうとは限りません。
その場で数字を盛ってしまう背景の多くは、相手をだまそうという悪意ではなく、見劣りしたくない不安や、お金の話を正直に扱いづらい空気にあります。むしろ、後で強く落ち込む人ほど、嘘に慣れていない証拠とも言えます。平気な人は、盛ったことすら覚えていないものです。一度の見栄で、その人の誠実さまで否定されるわけではありません。
ただし、「ただの見栄だから、どこで誰に言っても問題ない」と片づけてよいとも限りません。お金の数字は、相手の判断に影響することがあります。盛った相手が、それを前提に何かを決める関係(お金の貸し借り、結婚、出資の話など)なら、つじつまの問題ではなく、信頼の問題に変わります。
ただし、ここを超えたら、少し気にかけたい
「その場かぎりの軽い見栄」という段階と、整理や対応が必要な状態は、分けて考えたほうがいいです。
たとえば、こんな場面です。盛った数字を前提に、相手がお金を貸す・結婚を決める・一緒に大きな買い物をするなど、現実の判断を進めようとしている。あるいは、見栄のつじつまを合わせるために、さらに嘘を重ねたり、身の丈に合わない出費を続けたりしている。一度の見栄が、生活や人間関係を実際に動かし始めている。
こうした場面は、「ちょっとした見栄」とは別で、放っておくと負担が大きくなることがあります。お金が絡んで相手の判断を左右しそうなら、傷が浅いうちに、できる範囲で正直なところを伝え直すほうが、後の関係を守れます。見栄を張る癖が止まらず生活が苦しいと感じるなら、家計の相談として、お住まいの自治体の消費生活センターやファイナンシャル・プランナーへの相談という手もあります。
逆に、「同窓会で一度だけ、つい盛っただけ」であれば、それは多くの人が通っている範囲で、次から正直に答えるか、答えをぼかす言い方を用意しておけば、たいていそれで済みます。
編集部の整理
これは一つの正解ではなく、編集部としての提案です。
年収を盛ってしまったことへの向き合い方に、決まった正解はありません。すぐ忘れる人もいれば、しばらく自分を責める人もいます。大事なのは、一度の見栄を「自分は嘘つきだ」と決めつけて、必要以上に自分を追い込まないことだと思います。
人は、見劣りしたくない気持ちから、つい数字を大きく言ってしまうことがあります。やってしまったこと自体より、その後に同じ見栄を繰り返さず、お金が絡む相手にはきちんと正直でいられるかどうかのほうが、ずっと信頼を左右します。そして、見栄を張りたくなる場面そのものを、少しだけ減らす工夫もできます。「だいたいそのくらい」「普通だよ」と、数字を言わずに切り抜ける言い回しを一つ持っておくだけで、とっさに盛る必要がなくなります。
今日できる、小さい行動
- 自分が A〜E のどれに近いか、心の中でいいので名前をつけてみる
- お金の話を振られたときに使える、数字を言わずにかわす一言を用意しておく
- お金が絡む相手に盛ってしまっていたなら、傷が浅いうちに正直なところを伝え直すか検討する
全部を一度にやらなくて大丈夫です。今日は、一度の見栄を「取り返しのつかない嘘」だと決めつけないだけでも十分です。
このテーマで、もし気になったときの相談先
- お住まいの自治体の消費生活センター / ファイナンシャル・プランナー — 見栄での出費がかさみ、家計が苦しいと感じるとき。
- 心療内科・精神科 / お住まいの自治体の心の健康相談窓口 — 失敗を強く引きずり、落ち込みが続くとき。
- よりそいホットライン(0120-279-338) — つらくて、誰かに話を聞いてほしいとき。
この記事は、見栄を張った人を嘘つきだと裁くためのものでも、気にしなくていいと突き放すためのものでもありません。同じ経験をした人が、自分の気持ちを整理するための整理です。
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