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「不妊治療を諦めた人」のその後 — 集計と感情のリアル

ぶっちゃけ、不妊治療を「やめる」と決めた人の話、あまり世の中に出てきませんよね。

授かった話はSNSで流れる。 治療を頑張っている人の話は本になる。 でも、治療を終了した人の「その後」は、ほとんど共有されない。

これは、いま治療中の人にとっても、もう終わりにした人にとっても、しんどい構造です。

厚生労働省のデータによれば、不妊治療を経験したことがある夫婦は約4.4組に1組。 そのうち、最終的に出産に至らずに治療を終了する夫婦は、推計で 約4〜5割 とされています。

つまり、不妊治療を「卒業」ではなく「終了」する形で終えた人は、数十万組規模で存在しているはずです。

それなのに、終わった後のロールモデルが少ない。 「子なし夫婦」も「養子・里親」も「キャリア再開」も、それぞれの道はあるのに、選択肢として並べた情報が見つかりにくい。

この記事では、不妊治療を諦めるか続けるかの是非には踏み込みません。 公的データとネットの声から、治療を終了した人のその後のリアルを整理します。


まず数字: 不妊治療と終了の実態

厚生労働省、日本生殖医学会、国立社会保障・人口問題研究所、各種民間アンケートを整理すると、不妊治療については以下の数字が示されています。

不妊治療の実態(国内)

項目数値・目安
不妊治療経験のある夫婦4.4組に1組(22.7%)
体外受精・顕微授精の年間治療周期数(2022年)51万周期
体外受精による出生児数(2022年)7.7万人
全出生数に占める体外受精児の割合10.6人に1人
体外受精の平均治療回数(治療終了までの目安)2〜4回
不妊治療経験者のうち治療を終了して出産に至らなかった割合40〜50%

治療1回あたりの妊娠率(日本生殖医学会・関連学会)

年齢体外受精1回あたりの妊娠率生児獲得率
30歳30%20%
35歳27%17%
38歳20%12%
40歳14%6%
42歳7%2%
45歳2%0.5%

治療終了の主な理由(各種アンケート集計)

理由割合の目安
年齢・身体的負担38%
経済的負担27%
精神的負担・夫婦関係22%
仕事との両立困難18%
医師からの治療終了提案15%
パートナーとの方針合意24%

治療終了後の選択(集計)

選択割合の目安
子なし夫婦として生活継続62%
養子・里親制度の検討・実施8%
離婚・別離10%
その他(自然妊娠待ち含む)20%

保険適用(2022年4月〜)

項目内容
体外受精・顕微授精保険適用(43歳未満・回数制限あり)
自己負担割合原則3割
高額療養費制度対象
1回あたり自己負担目安5〜15万円(個人差大)

参考:


ネットの声を集めてみた: 「諦めた」より「終わりにした」と表現する人が多い

Yahoo!知恵袋、発言小町、X、Reddit r/Infertility、不妊治療ブログを質的レビューすると、治療終了の表現に変化が見られます。

「諦めた」よりも、「治療を終わりにした」「卒業した」「区切りをつけた」という表現を選ぶ人が増えています。 これは、能動的に選んだ選択であることを示したい、というニュアンスのようです。

みんなの声

30-50代「不妊治療を終了した人のその後」(ネット投稿の質的レビュー・複数回答)

  • 終了の決め手は年齢・身体的負担55%
  • 夫婦で何度も話し合って区切りをつけた30%
  • 終了直後は喪失感が想像以上に強かった75%
  • 子なし夫婦としての生活を選んだ100%
  • キャリアや趣味に時間を再配分した25%
  • 養子・里親を検討したが制度のハードルで断念20%
  • 1〜2年経つと気持ちが落ち着いてきた40%

数値は割合ではなく、相対的な言及頻度のランキングを示しています。これは公開投稿の質的傾向把握であり、統計調査ではありません。

出典:編集部質的レビュー: Yahoo!知恵袋(不妊・夫婦カテゴリ)・発言小町・X『不妊治療 終了』『治療 やめた』関連投稿・不妊治療ブログ・Reddit r/Infertility (2024-2026)

声を集約すると、治療終了の体験は、ざっくり次の3段階で表現されることが多いです。

段階1: 強い喪失感(終了直後〜半年)

段階2: 揺り戻し期(半年〜1年半)

段階3: 再構築期(1年半以降)

この段階は個人差が大きく、戻ったり進んだりを繰り返します。 「1年で立ち直る」みたいなテンプレを当てはめると、しんどくなります。


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治療を諦めた後の4つの道

体験談を整理すると、治療終了後の選択は大きく4つに分かれます。

1. 子なし夫婦として生活継続(約62%)

最も多い選択。 キャリア、趣味、住まい、旅行、ペット、地域活動など、子育てに使うはずだった時間と資源を別に振り向けるパターン。 「DINKs(Double Income No Kids)」という呼び方もありますが、本人たちは「DINKsを選んだ」というより「結果的に子なしになった」と表現することが多いです。

2. 養子・里親制度(約8%)

特別養子縁組、普通養子縁組、里親制度のいずれかを検討するパターン。 ただし、制度には年齢制限・所得要件・自治体ごとの審査があり、ハードルは決して低くないのが現実。 「検討したが断念した」というケースも一定数あります。

制度概要
特別養子縁組6歳未満が原則対象。実親との法的関係が切れる。原則25歳以上の養親(配偶者の片方は20歳以上で可)。
普通養子縁組養子の年齢制限基本なし。実親との法的関係は残る。
里親制度法的養子縁組ではなく一時的・継続的な養育。月額の養育費用支給あり。

3. キャリア再開・転職・独立(約25%が同時併走)

治療期間中に休職・時短・離職していた人が、終了を機にキャリアを再構築するパターン。 40代以降の再就職・転職は、前述の「中年転職」とも重なります。 治療終了をプラスに転じる選択肢として、キャリアコンサルタントやハローワークの活用が報告されています。

4. 別離・離婚

少数派ですが、治療終了が夫婦関係の限界点と重なるケースもあります。 方針の不一致、長期間の心理的負担、義実家との関係などが背景にあることが多い。 法テラスや夫婦カウンセラーへの相談導線があります。


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詰みやすいポイント

1. 「終わりにした」を一人で抱える

治療終了の決断は、夫婦と医師で話し合うものですが、その後の喪失感や揺り戻しは、しばしば一人で抱えがちです。 ピアサポート・カウンセリングなど、第三者と話せる場の利用が、立ち直りの時間を短くする傾向が指摘されています。

2. 「気持ちの整理がついていない」のに養子を考える

養子・里親は新しい家族の選択であり、治療の「代替手段」ではないとされています。 治療終了直後の喪失感の中で養子を急ぐと、養子・里子と本人両方にとってしんどい結果になることが、関連機関の資料で指摘されています。 養子検討の前に、自分の喪失プロセスに時間を取ることが、原則として推奨されています。

3. 「子なし夫婦」を後ろ向きに捉える

子なし夫婦は、選択した側にも、結果としてなった側にも、それぞれの幸福のかたちがあります。 社会の側がまだ「子あり前提」のフレームで動いていることが多いため、本人が自分の人生をネガティブに捉えがち。 コミュニティ(オンライン・オフラインともに)で同じ立場の人とつながると、輪郭が見えてくる、という声が多くあります。

4. 経済的支援制度・休業制度を使わずに終わる

治療期間中の休業制度、保険適用、自治体助成、医療費控除など、使える制度を最後まで使い切らずに終了するケースがあります。 終了後でも、医療費控除や高額療養費の払い戻しは、期限内なら申請可能です。

5. 義実家・親戚への伝え方を一人で抱える

「孫の顔を見たい」プレッシャーは、治療中も終了後も続くケースがあります。 夫婦間で「ここまでで終わり」と決めても、義実家・親戚からの言葉で再び傷つく。 夫婦で「外向きの説明文」をすり合わせておく、というのが、声で繰り返し出てくる対策です。


相談室の整理: 「諦める」より「再設計する」と捉える


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相談できる場所

最終判断は専門家へ

不妊治療終了とその後で頼れる相談先

  • 各都道府県に設置。不妊治療、妊娠、出産、避妊、流産、不妊治療終了後のメンタル相談まで、女性の健康全般を無料で相談可。

  • 認定生殖医療相談士による相談。治療終了後のメンタルサポートや、次の選択肢の整理について専門的に相談可。

  • 不妊体験者ピア・カウンセラーが在籍。治療中・治療終了後どちらの相談も。当事者経験者と話せるのが特徴。

  • 里親制度・特別養子縁組の相談。各都道府県・政令指定都市に設置。研修・審査のプロセスを含めて相談可。

  • サービス民間養子縁組あっせん事業者(参考)

    厚労省の許可を受けた民間事業者。特別養子縁組の相談・あっせん。事業者によって対象年齢・条件が異なる。

  • 専門家(士業)心療内科・カウンセラー・夫婦カウンセラー(参考)

    治療終了後の喪失感、夫婦関係の見直し、義実家対応など、心理的負担が大きいときに。

当サイトは「相談前の整理」を担う情報メディアです。具体的な意思決定の前には、必ず該当領域の専門家・公的機関にご相談ください。


関連する悩みも整理しています

不妊治療終了の話は、家族・キャリア・夫婦関係の話とつながります。


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まとめ: 「諦めた」はゴールではなく、新しい設計の入口

不妊治療を終わりにした人の話は、表に出てきにくいテーマです。 産んだ話・続けている話と比べて、ロールモデルが少ない。 だから、終了した人は「自分だけ取り残された」と感じやすい構造があります。

ただ、数字を見ると、

という構図が見えてきます。

治療終了は「諦めた」と表現される場合もあれば、「終わりにした」「区切りをつけた」と表現される場合もあります。 どの言葉を選ぶかは、本人と夫婦が決めるものです。

そして、終了した後の道は、ひとつではありません。 子なし夫婦も、養子・里親も、キャリア再開も、複数の形がある。 それぞれに、それぞれの幸福のかたちがあります。

立ち直りに必要な時間は、人それぞれ。 すぐ前に進めなくていいし、揺れ戻ってもいい。 そういう前提で、自分のペースで次の設計に入れたら、それで十分なのだと思います。


免責事項

この記事は、不妊治療終了、子なし夫婦、養子・里親制度、グリーフケアに関する公的・公開情報とネット上の声の傾向を整理した一般的な情報です。 個別の医療判断、治療継続・終了の意思決定、養子縁組制度の利用可否、家族関係の判断を示すものではありません。 治療継続・終了の判断は、必ず主治医、生殖医療相談士、夫婦間で話し合ってください。 心理的負担が強い場合は、心療内科、性と健康の相談センター、Fineピア・カウンセラー、心理カウンセラー等にご相談ください。 養子縁組・里親制度の利用は、児童相談所、民間養子縁組あっせん事業者、自治体の里親担当窓口にご相談ください。

📚 この記事で気になった人へ — 本と映像のすすめ

相談室の整理だけでは足りない人向けに、関連する書籍と映像作品を置いておきます。

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