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親が怪しい電話を信じかけた日、どう止めればいいのか

ぶっちゃけ、実家からの電話で「孫からお金が必要と連絡が来た」と聞いた瞬間、心臓が止まりそうになった。

平日の午後、職場のスマホが鳴る。 発信元は実家。 出たら、母の声。

「あのね、〇〇(自分の子)から、いま急にお金が必要だって連絡があって」 「会社のお金を間違って使ってしまったらしくて」 「これから銀行に振り込みに行こうと思って」

その瞬間、頭の中で警報が鳴る。 「待って、待って、それ詐欺だから」 「絶対送らないで」 「いまから行くから」

電話を切ったあと、震える手で子に確認の電話を入れる。 子は普通に仕事中。 何の連絡もしていない。

家族みんなが、その夜、ぐったり疲れた。


この経験を持ったことのある人は、たぶん少なくありません。 そして、止め方を一つ間違えると、親が次に怪しい電話を受けたとき、家族に言わなくなるという、もっと大きなリスクが生まれます。


まず数字: 特殊詐欺の実態

指標数値出典
特殊詐欺の認知件数(2023年・警察庁)約1万9千件(※2023年/令和5年時点)警察庁 特殊詐欺認知・検挙状況
同 被害総額(2023年)約452億円同上
1件あたり平均被害額約230万円同上
被害者の年齢層65歳以上が約8割同上
オレオレ詐欺・還付金詐欺・架空料金請求・キャッシュカード詐欺盗等が主流(内訳)同上
警察庁認知の特徴認知件数より実被害は多いと推定(被害届を出さないケース)同上

→ 高齢者を狙った特殊詐欺は、毎年1万件を超える規模で続いています。 これは「うちの親に限って大丈夫」と思える数字ではありません。 65歳以上で電話を取る人なら、誰でも標的になりうる規模で発生しています。

→ なお内閣府「高齢社会白書」によると、2024年(令和6年)は65歳以上の被害認知件数が1万3,707件、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は65.4%でした。統計は警察庁の分類変更や年次・暫定値の更新があるため、最新値は警察庁・内閣府の公表資料をご確認ください。

→ 一度被害にあった人が、別の詐欺や追加要求の標的になるケースも指摘されています。被害後は、同じ手口だけでなく、別の名目の連絡にも注意が必要です。


「親が信じかけた」場面で、家族が陥りやすい3つの失敗

子側が怒鳴る・責める・取り上げる、をやると、たいてい以下の悪循環に入ります。

家族の対応親の反応
「なんでそんなの信じるの!」と怒鳴る親が萎縮して黙る、次は家族に相談しなくなる
「もう年だから判断できないんだから」と人格否定親の自己肯定感が下がり、家族との距離が広がる
「キャッシュカードと通帳、こっちで預かるよ」と取り上げる親が「自分の人生を子に乗っ取られた」と感じ、関係が悪化
「危ないから一人で外出禁止」と制限親の生活が縮小し、認知機能が落ちる悪循環
「親を保護施設に」と過剰反応親が抵抗・拒否、家族間で意見が割れる

→ 「親を守りたい」気持ちと「親を制限する」行動は、紙一重です。 親の側からすると、子に責められると、次に怪しい電話を受けたときに、相談する相手が誰もいなくなるという、もっと悪い状況になります。


「親が信じかけた」場面で、有効だったとされる対応

被害を止めた家族・支援団体の発信から、共通する有効パターン:

対応効果
「電話、いったん切って」と一呼吸入れる親が自分で考える時間を作れる
「自分も同じ電話を受けたことがある」と語る親を一人で恥じさせない
「警察に相談してみよう、一緒に行く」と提案親を主体にしながら、家族が伴走する
「最近、こういう詐欺が多いらしいよ」とニュースとして共有親個人を責めずに、社会の話として扱える
親の通帳・カードは「親が管理する前提」で、家族が補助親の自尊心を守りながら、リスクを減らす
親と「合言葉」を決めておく「孫からの緊急電話」を本物か確認する仕組み

→ 共通しているのは、**「親を子ども扱いせず、対等な大人として一緒に動く」**という距離感です。 これは詐欺対策だけでなく、親の認知機能を保つためにも、重要な視点です。


親を守りたい家族が抱えやすい反応

笑える話ではありません。 親が怪しい電話を信じかけたあと、家族側にもいくつかの反応が起きます。

ここで大事なのは、親を監視対象にしないことです。 守りたい気持ちは自然ですが、親が「家族に管理されている」と感じると、次に怪しい連絡が来たときに相談しづらくなることがあります。

だからこそ、平常時に「お金を動かす前は一度相談する」「孫からの緊急連絡は本人にかけ直す」など、親本人が納得できるルールを一緒に作る方が長続きします。


ネットの声を集めてみた(公開発信の質的傾向)

警察庁・消費者庁の啓発資料・X・noteで「親 詐欺 止めた」「実家 怪しい電話」「特殊詐欺 家族」関連の発信を質的にレビューしました。

警察庁・消費者庁の啓発資料や家族の公開発信では、次のような声が目立ちます。

特に多いのが「怒鳴ったり責めたりすると、親が次から言わなくなる」というパターンです。 これは詐欺対策の大きな失点で、親が孤立すると、次の被害を止める手段がなくなるという、構造的なリスクにつながります。


親を主体にしながら、家族が伴走するための仕組み

詐欺対策を「家族が親を監視する」構造にすると、親の側がストレスを感じて関係が悪化します。 代わりに、**「親が自分で守れる仕組みを、家族が一緒に作る」**方向で組み立てるのが、たぶん長続きします。

1. 「親と話す約束」を、平常時から作っておく

2. 「合言葉」を決めておく

3. 通帳・カードは「親が管理する前提」で、補助だけする

4. 兄弟姉妹で情報共有体制を作る

5. 詐欺の事例を、ニュースとして親と話す

6. 自治体の見守りサービスを使う


親が「すでに振り込んでしまった」場合の動き方

振込を利用した詐欺の場合、振込先口座にお金が残っていれば、振り込め詐欺救済法に基づき、被害回復分配金を受け取れる可能性があります。ただし、犯人がすでに引き出していると回復は難しくなります。気づいたら、できるだけ早く警察と振込先の金融機関に連絡してください。

その日のうちに

  1. 警察に連絡
    • いま犯人と通話中、受け子が来る、ATMへ誘導されているなど緊急性がある場合は 110番
    • 緊急ではないが警察に相談したい場合は、警察相談専用電話 #9110
  2. 振込先銀行に連絡(口座凍結を依頼)
  3. 親本人の同意を得たうえで、通帳・キャッシュカード・印鑑の保管場所や管理方法を一緒に確認する(必要に応じて金融機関・警察・専門家にも相談)
  4. 同じ手口の追加要求に対応しない(犯人グループから「あと一度送れば取り戻せる」と来ることがある)

その週のうちに

  1. 消費者ホットライン #188 に相談(最寄りの消費生活センター等につながる全国共通の相談窓口)
  2. 国民生活センター に連絡
  3. 法テラス(被害回復の法的相談、収入条件で無料)
  4. 被害届の提出(警察)
  5. 必要に応じて弁護士相談(集団訴訟や被害者の会の情報が得られることもある)

数週間後


「親には言わないで」と言われたら、それは即危険

詐欺の側が必ず使うフレーズ:

これらが出てきたら、詐欺を強く疑ってください。 親に「これらの言葉が出てきたら、即座に家族に電話して」と、平常時から共有しておく。


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まとめ

親が怪しい電話を信じかけたとき、いちばん危険なのは、子側が怒鳴って親を黙らせることです。 親が「次から家族に言わない」状態になると、被害を止める手段がなくなります。

「電話、いったん切って」と一呼吸入れる。 「一緒に警察に確認しよう」と提案する。 親の人格を否定せず、社会の話として扱う。 通帳・カードは取り上げず、リスクを下げる仕組みを一緒に作る。 兄弟姉妹で情報共有体制を作る。

「家族には言わないで」と言われたら、即座に家族に電話を、と平常時から親と共有しておく。

被害にあった場合は、恥ずかしさで黙らない。 警察 #9110、消費者ホットライン #188。 口座凍結は、その日のうちに動けば、被害金の一部を取り戻せる可能性があります。

親を子ども扱いするのではなく、対等な大人として一緒に動く。 それが、たぶん長期的に親も家族も守る、いちばんの距離感です。


本記事は特殊詐欺・親の被害対応に関する警察庁・消費者庁・国民生活センターの公開情報と、家族の対応事例の質的傾向をもとに作成しています。法律的な個別対応は、警察 #9110・消費者ホットライン #188・法テラス・弁護士等にご相談ください。

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