育休復帰、戻ったら自分の席がなかった人 — マミートラックの現実
ぶっちゃけ、育休復帰って「戻れるだけでありがたい」と言われがちだけど、戻った先に自分の仕事がないと、かなりきついです。
久しぶりのオフィス。見慣れたはずの席。でも、自分の仕事は他の人が担当している。重要な案件から外れている。会議に呼ばれない。「無理しなくていいよ」と言われる。配慮のようで、戦力外通告にも聞こえる。
悪意があるとは限りません。会社側も、育児中の社員に無理をさせたくない。急な休みに対応できるようにしたい。時短勤務の中で回る仕事を渡したい——そう考えている場合もあります。
でも、本人からすると、こう感じることがあります。「私、もう必要ないのかな」「戻ったのに、戻れてない」「産む前のキャリアは終わったのかな」
この記事では、「育休復帰後も同じようにバリバリ働け」とは言いません。逆に、「子どもが小さいうちはキャリアを諦めるべき」とも言いません。
公的情報とネット上の声をもとに、育休復帰後に自分の席がなかった人、マミートラックに乗ったと感じた人は、どこで揺れたのか。どう整理すると少し動きやすいのかをまとめます。
結論を先に言うなら、育休復帰で大事なのは、根性ではなく調整です。仕事内容、勤務時間、評価基準、急な休みへの備え、上司との面談、中長期のキャリア希望、不利益取扱いかどうかの確認——ここを曖昧にしたまま「無理しなくていいよ」で包むと、優しさの顔をしたキャリア断絶になりやすいです。
まず数字: 育休復帰後の年収・キャリア変化
「マミートラック」という言葉は感覚的に語られがちですが、傾向で見ると輪郭が出てきます。育休復帰前後の年収・時短利用・昇進などの精密な割合は、調査主体・対象・年度によって幅が大きいため、ここでは具体的な%は出さず、各種調査・解説に共通する傾向として整理します。
育休復帰後の年収の傾向
- 復帰直後は、時短勤務などの影響で年収が育休前より下がることが多い。
- 時短を続けると育休前の水準に戻りきらず、フルタイムに戻しても完全には埋まりきらない、というケースが目立つ。
- 同じ時期の同期男性は順調に上がっていくため、差は時間とともに広がりやすい。
時短勤務の利用の傾向
時短勤務の利用は、子どもが小さいうちは多く、3歳前後を境に下がっていく傾向があります。3歳未満の短時間勤務制度が法律上の義務であることが背景にあり、その先は会社制度や個人の判断に委ねられるためと考えられます。「3歳の壁」「小1の壁」が話題になりやすいのも、この段差と無関係ではなさそうです。
育休復帰後のキャリア変化
「同じ席に戻れた」人もいれば、職務が補助的なものに変わったり、別部署に異動したり、復帰そのものをやめたりする人も一定数いる、というのが現実です(割合は調査により幅があります)。「戻ったのに戻れていない」と感じる人がいるのは、感覚だけの話ではなさそうです。
「マミートラック」と昇進
精密な昇進率は出典により幅があるため数値は出しませんが、育休を経験した女性の管理職への昇進は、同期男性や育休未経験の女性と比べて低くなりやすい、という傾向が各種調査・解説で指摘されています。本人の希望や能力とは別の要因がどこかで効いている可能性が読み取れます。
第二子以降の出産について
時短勤務など働き方に余裕がある人のほうが、第2子以降を持ちやすい傾向がある、という指摘があります(割合は調査により幅があります)。働き方の余裕と、次の子を持つ判断の間には、ゆるやかな関係がありそうです。
出典:
- 厚生労働省「雇用均等基本調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-23.html
- 内閣府「男女共同参画白書」 https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/
まず現実: 育休取得は増えても、復帰後の悩みは消えていない
厚生労働省の令和6年度雇用均等基本調査では、育児休業取得者の割合は女性86.6%、男性40.5%とされています。
育休を取ること自体は、以前よりかなり一般化してきました。
ただし、育休を取れることと、復帰後に納得して働けることは別です。
2025年4月施行の育児・介護休業法改正では、子の看護休暇の見直し、所定外労働の制限の対象拡大、3歳未満の子を育てる労働者への短時間勤務制度の代替措置にテレワーク追加などが行われています。
制度は少しずつ進んでいます。でも、現場の空気が追いついていない会社もあります。
参考:
- 厚生労働省「令和6年度育児休業取得率の調査結果」 https://tomoiku.mhlw.go.jp/assets/pdf/activity/document_R6.pdf
- 厚生労働省「育児・介護休業法 令和6年改正内容の解説」 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001407488.pdf
マミートラックとは何か
マミートラックは、出産・育児をきっかけに、本人の希望や能力とは関係なく、昇進や重要な仕事から外れたコースに乗せられてしまう状態を指して使われることが多い言葉です。
問題は、本人の希望を聞かないまま、会社側が勝手に決めることです。配慮に見えますが、本人が望んでいなければ、キャリアの機会を奪うことにもなります。
ネットの声を集めてみた: 一番つらいのは「配慮なのか戦力外なのか分からない」こと
みんなの声
30〜50代「育休復帰後にしんどかったこと」(ネット投稿の質的レビュー・複数回答)
- 配慮なのか戦力外なのか分からず苦しかった100%
- 子どもの急病で謝り続けるのがつらかった75%
- 前の仕事・ポジションに戻れなかった55%
- 時短勤務で評価が下がった気がした40%
- 同僚に負担をかける罪悪感があった30%
- 上司とキャリア希望を話せなかった25%
- 転職・退職を考えたが動けなかった20%
- 男性育休後も周囲の目が気になった15%
数値は割合ではなく、相対的な言及頻度のランキングを示しています。これは公開投稿の質的傾向把握であり、統計調査ではありません。
育休復帰は、母親だけの問題ではありません。父親の育休復帰でも、介護との両立でも、似た構造はあります。「家庭がある人を職場がどう扱うか」の問題です。
育休復帰で詰みやすいポイント
- 復帰面談で「何でも大丈夫です」と言ってしまう
- 会社が「良かれと思って」仕事を外す(本人に確認しないまま外すと押しつけになる)
- 評価基準が曖昧
- 急な休みのバックアップが個人任せ
- 同僚への罪悪感だけが積み上がる
不利益取扱いかもしれない場面
妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いやハラスメントは、法律上問題になることがあります。
- 育休を取ったことを理由に降格される
- 復帰後、合理的な説明なく不利益な配置転換をされる
- 契約更新を拒まれる
- 昇進・評価で不当に不利に扱われる
- 育休取得を理由に嫌がらせを受ける
- 時短勤務を使うことを理由に責められる
- 妊娠・出産・育児を理由に退職を迫られる
「おかしいかも」と思ったら、会社の窓口だけでなく、都道府県労働局雇用環境・均等部、総合労働相談コーナー、弁護士などに相談するのが安全です。
相談室の整理: 「配慮」ではなく「合意した働き方」にする
男性育休復帰でも起きること
マミートラックという言葉は女性に使われることが多いですが、男性の育休復帰でも似た悩みは出ます。「男なのに長く休むのか」と言われる、戻ったら重要案件から外れている、昇進に響くのではと不安になる、子どもの熱で休むと驚かれる。
育休復帰の問題は、女性だけの問題ではありません。「育児をする人が、仕事でどう扱われるか」の問題です。
克服のリアル: 子どもを持った後のキャリアは、一直線ではなくなる
ただ、キャリアが終わるわけでもありません。
一時的に横へずれる、少し速度を落とす、別の道を探す、数年後にまた戻す、働き方を変える——子どもを持った後の生活は前と同じではない。だからといって、そこで自分の価値が消えるわけではありません。
育休復帰は、元の席にそのまま戻ることだけがゴールではありません。自分の働き方を、もう一度交渉し直すタイミングでもあります。
このテーマで頼れる相談先
最終判断は専門家へ
育休復帰・マミートラック・不利益取扱いで頼れる相談先
妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱い、マタハラ、育休復帰後の配置や評価で不安があるとき。
- 公的機関総合労働相談コーナー
配置転換、労働条件、いじめ・嫌がらせ、退職、職場トラブルなどを幅広く相談したいとき。
- 専門家社会保険労務士(参考)
育児・介護休業法、就業規則、時短勤務、子の看護休暇、会社制度の確認をしたいとき。
- 専門家弁護士(参考)
不利益取扱い、降格、退職強要、雇止め、賃金や評価の不当な扱いで法的相談をしたいとき。
- サービス勤務先の人事・労務・産業医(参考)
復帰面談、勤務時間、在宅勤務、業務量、評価、急な休みの対応を社内で調整したいとき。
- 公的機関自治体の子育て支援窓口(参考)
保育園、病児保育、ファミリーサポート、一時預かり、子育て支援制度を確認したいとき。
当サイトは「相談前の整理」を担う情報メディアです。具体的な意思決定の前には、必ず該当領域の専門家・公的機関にご相談ください。
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まとめ: 育休復帰は「戻ること」より「戻った後にどう扱われるか」が大事
「無理しなくていいよ」は、優しい言葉です。でも、それだけでは足りません。何を減らすのか、いつ戻すのか、どう評価するのか、急な休みを誰がカバーするのか——ここまで話して、初めて働き続ける設計になります。
育休復帰後のキャリアは、一直線ではないかもしれません。でも、終わりでもありません。
大事なのは、黙って戦力外の席に座り続けることではなく、今の自分が働ける条件を言葉にしていくことです。
免責事項
この記事は、育休復帰、マミートラック、時短勤務、子の看護休暇、配置転換、評価、不利益取扱い、マタハラ、職場復帰に関する公的・公開情報とネット上の声の傾向を整理した一般的な情報です。 個別の法的判断、会社の配置転換の適法性、評価の妥当性、降格・雇止め・退職強要の判断を示すものではありません。 妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱い、ハラスメント、配置や評価への不安がある場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)、総合労働相談コーナー、社会保険労務士、弁護士等に相談してください。
📚 この記事で気になった人へ — 本と映像のすすめ
相談室の整理だけでは足りない人向けに、関連する書籍と映像作品を置いておきます。
- マイ・インターン (2015)
働く母親のキャリア再構築を描く癒し系作品。 - I, Tonya / アイ, トーニャ (2017)
働く女性のキャリアと家庭の葛藤。 - ベイビー・ブーム (1987)
ダイアン・キートン主演。キャリア女性と子育ての衝突を描く古典。
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