実家に帰らない正月は、親不孝なのか
ぶっちゃけ、「今年の正月は実家に帰らないことにした」——その選択に、どこか後ろめたさを感じている人は、思っているより多いです。
たとえば、こんな場面です。年末年始くらいは帰ってきなさい、と親に言われる。でも、長距離の移動が負担だったり、帰省すると気を遣って逆に疲れたり、仕事や家庭の事情があったりして、今年は帰らないと決めた。決めたはいいものの、「やっぱり帰ったほうがよかったのかな」「親をがっかりさせたのでは」という思いが、年が明けても胸の隅に残っている。
このテーマは、「正月くらい帰るのが当然」という意見と、「無理してまで帰る必要はない」という意見に、はっきり分かれます。
そして、どちらの意見も、それなりに筋が通っています。だからこそ、自分の中でも答えが出しにくいのです。
この記事は、どちらが正しいかを決める記事ではありません。賛否が割れるこのテーマを、両方の言い分を並べたうえで、自分なりに整理するための記事です。
この話が、人に言いにくい理由
「正月に実家に帰らない」と口に出すのは、意外と言いにくいことです。
言えば、「親不孝」「冷たい」と思われそうだし、毎年きちんと帰省している人の前では、口にするのがはばかられる。逆に「別にいいじゃん、無理しなくて」と軽く返されると、自分なりに悩んだ末の選択が、あっさり片づけられたように感じてしまう。
しかも、たかが帰省くらいで悩むなんて、と自分でも思ってしまう。だからこそ、はっきり言葉にできず、胸の奥にしまい込むことになります。
だから、この迷いは表に出にくいのです。出にくいだけで、似た思いを抱えている人はあちこちにいます。
公開投稿や相談事例で、よく見る声
統計ではありませんが、帰省や年末年始の過ごし方をめぐる公開投稿を読んだ範囲では、賛否の両方の声が繰り返し見られます。
帰らなくていい、という側からは—— 「無理して帰っても疲れるだけ。電話で十分」 「正月に帰らなきゃいけない決まりなんてない」
帰ったほうがいい、という側からは—— 「親が元気なうちに会える正月は、そう何回も残っていない」 「帰らなかった年のことを、あとで後悔した」
(編集部メモ: これは公開投稿を読んだ範囲で目立った声であり、統計ではありません。)
帰省をめぐる気持ちは、親子関係や距離の取り方の相談の中にも、形を変えて出てくるテーマです。一人だけの迷いに見えて、似た本音はあちこちにあります。
立場別に整理してみる
ひとことで「正月に帰らない」と言っても、中身はかなり違います。
A 負担回避型 — 移動や費用、気疲れの負担が大きく、無理をしないために帰らない。 B 事情優先型 — 仕事や育児、自分の家庭の事情があって、今年は帰れない。 C 距離を置きたい型 — 親との関係に葛藤があり、あえて距離を取っている。 D 後ろめたさ残り型 — 帰らないと決めたが、親をがっかりさせた気がして気が晴れない。 E 親が高齢型 — 親の老いを感じていて、帰らない選択に特に重さを感じている。
同じ「帰らない」でも、Aの人とEの人とでは、抱えているものがまったく違います。自分がどこに近いかを見るだけでも、少し整理がつきます。
よくある誤解
「正月に帰らない=親を大事にしていない・親不孝」と結びつけてしまう人がいますが、必ずしもそうとは限りません。
帰省の回数と、親を大切に思う気持ちは、別のものです。年に何度も帰る人もいれば、めったに帰れなくても電話やメッセージでこまめに気にかける人もいます。形だけ帰って互いに疲れるより、無理のない範囲で関係を続けるほうが、長い目で見て良いこともあります。「帰る=親孝行、帰らない=親不孝」と単純に分けられるものではありません。
逆に、「帰省なんて時代遅れの押し付け」と決めつけるのも、行きすぎです。親にとって、子どもが帰ってくる正月が特別な意味を持つのも、また事実です。どちらかが正しくて、どちらかが間違い、という話ではないのです。
ただし、ここを超えたら整理が必要
「無理のない範囲で帰省を見送る」という段階と、整理が必要な状態は、分けて考えたほうがいいです。
たとえば、こんな場面です。親が高齢で、体調や生活に不安があり、会える機会が限られてきている。あるいは、親との関係に強い葛藤があって、帰省を考えるだけで気分が深く沈んだり、眠れなくなったりする。「帰らないこと」をめぐって、親やきょうだいとの関係がこじれ、自分を責め続けてしまっている。
こうした場面は、「帰る・帰らない」を一人で抱え込むには重すぎることがあります。親の体調や暮らしに不安があるなら、親の住む地域、またはお住まいの地域の地域包括支援センターに相談すると、見守りや支援の手立てを整理してもらえます。親との関係がつらく気持ちが沈むなら、よりそいホットライン(0120-279-338)で話を聞いてもらうこともできます。気分の落ち込みや眠れない状態が二週間以上続くようなら、心療内科や精神科、自治体の心の健康相談窓口も頼れます。
逆に、「無理せず見送ったうえで、電話やメッセージで親と穏やかにつながれている」のであれば、それは親不孝ではなく、自分も親も無理をしない、現実的なつながり方の一つです。
編集部の整理
これは一つの正解ではなく、編集部としての提案です。
家族とのつながり方に、決まった正解はありません。毎年帰る家もあれば、めったに帰らなくても関係が保たれている家もあります。大事なのは、「帰省したかどうか」で親孝行を採点することではなく、「自分も親も、無理なく続けられる関わり方になっているか」を考えることだと思います。
そして、帰らないという選択を「親不孝」と決めつけて、一人で罪悪感を抱え込まないことだと思います。負担や事情に正直になることは、薄情とは違います。一方で、親が高齢で会える機会が限られていると感じるなら、その重さからも目をそらさず、電話一本や短い帰省など、できる形を探してみる——その両方を、自分のペースで考えていけば十分です。
今日できる、小さい行動
- 自分が A〜E のどれに近いか、心の中でいいので名前をつけてみる
- 帰らないと決めた理由を、責める言葉ではなく事実として一つ書き留めておく
- 帰らない代わりにできること(電話・メッセージ・短い訪問など)を一つ考えてみる
全部を一度に動かなくて大丈夫です。今日は、自分の選んだ理由を一つ書き留めるだけでも十分です。
このテーマで頼れる相談先
- 地域包括支援センター — 親が高齢で、体調や暮らしに不安があるとき。
- よりそいホットライン(0120-279-338) — 親との関係や帰省をめぐって気持ちが沈むとき。
- 心療内科・精神科 / お住まいの自治体の心の健康相談窓口 — 気分の落ち込みや眠れない状態が二週間以上続くとき。
この記事は、帰省を勧めるためのものでも、見送りを正当化するためのものでもありません。賛否の分かれるテーマを、両方の言い分を並べて、自分なりに整理するための場所です。
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