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子の不登校、責めずに見守ると決めるまでの葛藤

ぶっちゃけ、子どもが学校に行かなくなったとき、親はどこまで見守ればいいの?

朝、子どもが布団から出てこない。

最初の1日は「体調が悪いのかな」と思う。 2日目は「まあ、疲れてるのかも」と思う。 でも、3日、1週間、2週間と続くと、親の中で何かが変わっていきます。

「このままで大丈夫なのか」 「甘やかしているだけじゃないのか」 「無理にでも行かせたほうがいいのか」 「でも、責めたらもっと壊れてしまうんじゃないか」

不登校のつらさは、子ども本人だけのものではありません。 親もまた、毎朝、心の中で小さな裁判をしているような状態になります。

この記事では、「学校に行かせるべきか」「休ませるべきか」を一方的に決めることはしません。 個別の家庭事情、子どもの状態、学校環境、いじめ、発達特性、心身の不調、家庭内の問題によって、必要な支援は変わるからです。

ただ、公的資料と公開情報、ネット上の声をもとに、親が"責めずに見守る"と決めるまでに、どんな葛藤を通るのかを整理します。

見守ることは、何もしないことではありません。 でも、追い詰めないことも、たしかに支援の一部です。


まず数字: 不登校の児童生徒数と要因

責めるか見守るかの前に、まず全体像の数字をざっと置いておきます。 「うちだけの話」と思い詰めずに読むための背景として参考になればと思います。

小中学校 不登校児童生徒数(令和4年度)

区分児童生徒数在籍に対する割合
小学校約 105,112人約 1.7%
中学校約 193,936人約 6.0%
高等学校約 60,575人約 2.0%
小中合計約 299,048人過去最多

小学校と中学校で割合がかなり違うのが分かります。 中学校では、クラスに2人前後の不登校生徒がいる計算に近い水準です。

不登校の主な要因(本人に係る要因)

要因構成比
無気力・不安約 51%
生活リズムの乱れ・あそび・非行約 11%
いじめを除く友人関係約 9%
親子の関わり方約 8%
学業の不振約 5%
教職員との関係約 1%
進路に係る不安約 0.7%
いじめ約 0.3%

数字の上では、「無気力・不安」が過半数を占めています。 はっきりした理由がひとつあるというより、「うまく言葉にできない不調」が背景になっているケースが多い、という整理になります。 親としては「原因がはっきりしないこと」自体が、しんどさの一部かもしれません。

学年別 不登校率の推移

学年不登校率
小1〜小3約 0.5〜1.2%
小4〜小6約 1.5〜2.8%
中1約 4.5%
中2約 6.3%
中3約 7.0%

学年が上がるごとに不登校率が上がり、特に中1で急に増えています。 小6から中1の環境変化(いわゆる「中1ギャップ」)は、現場でも長く指摘されてきたポイントです。 今、小学校高学年〜中学初期のお子さんがいるご家庭は、この段差を頭の隅に置いておくと、変化に気づきやすくなるかもしれません。

スクールカウンセラー等の相談実態

支援の入口になる人や場は、思っているよりは整いつつあります。 ただ、配置されていることと、実際に使いやすいかは別の話で、ここは地域差・学校差があります。

不登校後の進路(高校進学率)

不登校になったから進路が閉じる、という単純な構図ではありません。 通信制という選択肢が、不登校経験者の進路のかなり大きな受け皿になっていることが見えます。 「全日制に戻る」だけがゴールではない、という前提で読むと、少し気持ちが楽になる数字かもしれません。

出典: 文部科学省「不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」 https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/shidou/


📖 関連親と子の言葉のすれちがい教育評論家による「親が言いがちな言葉/効く言葉」のリスト。

まず知っておきたい: 不登校は、もう「珍しい家庭の話」ではない

文部科学省の「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、国公私立の小・中学校における不登校児童生徒数は約34万6千人、高等学校の不登校生徒数は約6万9千人と公表されています。

これは、過去最多とされる水準です。

もちろん、この数字を見て「だから大丈夫」と言いたいわけではありません。 子どもが学校に行けない状態になったとき、親にとっては統計ではなく、目の前の一人の問題です。

ただ、ひとつ言えるのは、不登校は"その家庭だけの失敗"と見るには、あまりにも広がっている現象だということです。

「うちの育て方が悪かったのかな」 「もっと厳しくしていればよかったのかな」 「スマホを渡したのが間違いだったのかな」 「共働きで見てあげられなかったからかな」

親は、すぐ自分を責めます。

でも、不登校の背景は一つではありません。 学校での人間関係、先生との相性、学業の負担、部活、いじめ、体調、発達特性、家庭の変化、社会全体の空気。 いろいろなものが重なります。

親のせいだけで説明できるほど、単純な話ではありません。

参考:


📖 関連不登校の子どもとどう向き合うか「不登校新聞」編集長による親の見守り方と関係づくりの実践書。

「責めずに見守る」と「放置する」は違う

不登校の話で、親がいちばん迷いやすいのがここです。

「無理に行かせないほうがいい」と聞く。 でも、「じゃあ家でゲームしていても何も言わないの?」と思う。 「見守りましょう」と言われる。 でも、「見守るって、具体的に何をするの?」と思う。

この言葉の曖昧さが、親をさらに苦しめます。

状態親の関わり方子どもへの伝わり方
責める「なぜ行かないの」「将来どうするの」と詰める追い詰められる、話せなくなる
放置する何も聞かない、学校ともつながらない見捨てられたように感じることがある
見守る安全確認・会話・相談先との接点を保つ休む余白と戻る足場が残る
支援につなぐ学校・SC・SSW・教育支援センター等と連携する家庭だけで抱えない形になる

見守るとは、「学校に行かなくても好きにしていいよ」と丸投げすることではありません。

むしろ、見守るには体力がいります。 口を出したくなるのを止める。 でも、完全に離れない。 子どもの顔色を見る。 生活リズムを見る。 学校との連絡を切らさない。 必要なら相談先につなぐ。

見守るとは、静かな関与です。

そして、これがとても難しい。


📖 関連親と子の言葉のすれちがい教育評論家による「親が言いがちな言葉/効く言葉」のリスト。

ネットの声を集めてみた: 親は「見守る」と決めたあとも揺れている

不登校に関する公開投稿を見ていくと、親の声には共通する揺れがあります。

「責めない」と決めた。 でも翌朝、やっぱりイライラしてしまう。

「休ませよう」と思った。 でも昼まで寝ている姿を見ると不安になる。

「本人のペースを尊重しよう」とした。 でも同級生が普通に登校している姿を見ると、胸がざわつく。

みんなの声

30〜50代親世代「子の不登校で揺れたこと」(ネット投稿の質的レビュー・複数回答)

  • 責めないと決めても、朝になると焦る100%
  • 見守りと甘やかしの違いが分からない75%
  • ゲーム・スマホ時間で親子げんかになる55%
  • 学校や先生への連絡がしんどい40%
  • 配偶者・祖父母と方針が合わない30%
  • 親自身が仕事や家事に集中できなくなる25%

数値は割合ではなく、相対的な言及頻度のランキングを示しています。これは公開投稿の質的傾向把握であり、統計調査ではありません。

出典:編集部質的レビュー: Yahoo!知恵袋・発言小町・X・掲示板系投稿の傾向整理 (2024-2026)

ここで見えるのは、「親が冷たいから悩む」のではなく、むしろ逆です。

大事だから迷う。 失敗したくないから検索する。 子どもの未来が怖いから、つい言いすぎる。

不登校の親の葛藤は、きれいごとでは済みません。

「その子のペースで」と言われても、親の頭には受験、内申、進学、就職、友人関係、昼夜逆転、ゲーム依存、将来の孤立まで一気に浮かびます。

"今だけ休ませればいい"と割り切れない。 でも"今すぐ行け"とも言えない。

その間で、親は何度も揺れます。


📖 関連不登校の子どもとどう向き合うか「不登校新聞」編集長による親の見守り方と関係づくりの実践書。

公的資料では、不登校支援は「家庭だけで抱えるもの」ではない

文部科学省は、不登校児童生徒への支援について、学校や教育支援センターなどの関係機関を中心に、組織的・計画的に実施することが重要だとしています。

また、担任、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどが中心となり、子どもや保護者と話し合いながら「児童生徒理解・支援シート」を作成することが望ましい、とされています。

つまり、不登校は「親が家でなんとかする問題」とは整理されていません。

学校、教育支援センター、医療機関、児童相談所など、状況に応じて複数の関係者が関わる前提のテーマです。

こども家庭庁も、不登校対策に関するページで、文部科学省の相談窓口や関連施策への案内を掲載しています。

参考:


📖 関連親と子の言葉のすれちがい教育評論家による「親が言いがちな言葉/効く言葉」のリスト。

親が詰みやすいポイント: 正論を知っていても、家では崩れる

不登校の記事や本を読むと、「子どもを責めない」「安心できる家庭にする」「本人の気持ちを聞く」と書いてあります。

それはたぶん、方向性としては大事です。 でも、現実の朝は、そんなにきれいではありません。

1. 「行くの? 行かないの?」を毎朝聞いてしまう

親としては予定を立てたい。 学校への連絡もある。 給食や欠席連絡のこともある。

だから、つい聞いてしまいます。

「今日は行けそう?」 「何時間目からなら行ける?」 「保健室だけでも行く?」

でも、子どもからすると、その質問自体がプレッシャーになることがあります。

もちろん、確認が必要な場面はあります。 ただ、毎朝の第一声が「学校どうする?」だけになると、親子の会話が学校に占領されてしまいます。

2. スマホ・ゲームをめぐって爆発する

不登校の親の投稿で多いのが、スマホやゲームへの怒りです。

学校には行けないのに、ゲームはできる。 朝は起きられないのに、夜は配信を見ている。 勉強はしないのに、友だちとはオンラインで話している。

親から見ると、納得できない。 「それなら学校行けるでしょ」と言いたくなる。

でも、子どもにとってスマホやゲームが、現実からの逃げ場、友人との接点、唯一の安心になっていることもあります。

だからといって無制限でいい、という話でもありません。 ここが難しいところです。

一気に取り上げると関係が壊れる。 でも放置すると生活が崩れる。

この板挟みで、親は疲れます。

3. 配偶者や祖父母と方針が割れる

母親は「今は休ませたい」。 父親は「甘やかしではないか」と言う。 祖父母は「昔はそんな子いなかった」と言う。

家の中で方針が割れると、子ども以上に親が追い詰められます。

しかも、親同士の対立が子どもに伝わると、子どもはさらに自分を責めることがあります。

「自分のせいで家が悪くなっている」 そう感じてしまう子もいます。

不登校の問題は、子ども本人だけでなく、家庭全体のバランスを揺らします。

4. 学校への連絡がだんだん苦痛になる

最初は丁寧に連絡していた親も、欠席が続くとしんどくなります。

「また休みます」と言うのがつらい。 先生に申し訳ない。 理由を聞かれるのが嫌。 何を説明すればいいか分からない。

そのうち、学校からの電話を見るだけで気が重くなる人もいます。

でも、ここで連絡を切ってしまうと、支援の接点も切れやすくなります。 親だけで持ちこたえようとすると、かなり危ないです。


制度・選択肢の整理: 学校復帰だけが支援ではない

不登校になると、親は「元のクラスに戻る」ことだけをゴールにしがちです。

もちろん、本人が戻りたいなら大事な選択肢です。 でも、支援のルートはそれだけではありません。

選択肢できること向いているケース
担任・学年主任への相談学校内での状況共有、配慮の相談まず学校とつながりを保ちたい
養護教諭・保健室保健室登校、体調面の相談教室がしんどいが学校には行ける可能性がある
スクールカウンセラー子ども・保護者の心理面の相談気持ちの整理、親子関係の相談をしたい
スクールソーシャルワーカー家庭・福祉・学校の連携家庭環境や制度利用も含めて相談したい
教育支援センター学校外の居場所・学習支援学校以外の場で少しずつ動きたい
医療機関心身の不調、睡眠、強い不安など体調やメンタル面の心配がある
児童相談所・こども家庭センター家庭全体の相談、子どもの安全確認家庭内で抱えきれない、親も限界に近い

「学校に戻る」だけをゴールにすると、戻れない日が全部失敗になります。

でも、 朝起きる。 食事をする。 親と少し話す。 外に出る。 保健室に行く。 教育支援センターを見学する。 オンラインで学ぶ。 スクールカウンセラーと話す。

こういう小さな段階も、支援の途中です。


📖 関連学校に行けない子どもの気持ちがわかる本児童精神科医による不登校児の心理理解と接し方。

相談室の整理: 見守るなら「家庭だけで見守らない」がよさそうです

見守ることのいちばん怖いところは、「何も進んでいないように見える」ことです。

でも、外部とつながっていれば、見守りは孤立ではなくなります。 記録があれば、相談しやすくなります。 学校以外の足場があれば、子どもも親も「戻る/終わる」の二択から少し離れられます。


📖 関連親と子の言葉のすれちがい教育評論家による「親が言いがちな言葉/効く言葉」のリスト。

「大丈夫だった家庭」と「今もしんどい家庭」が両方ある

不登校の記事で、よくある美談があります。

「親が受け入れたら、子どもは少しずつ元気になりました」 「学校に行かなくても、別の道で成功しました」 「見守ったら、親子関係がよくなりました」

そういう話は、たしかにあります。 希望として必要な場面もあります。

でも、現実には、そんなにきれいに進まない家庭もあります。

見守っても昼夜逆転が続く。 相談先につながっても、子どもが話したがらない。 親だけがカウンセリングに通っている。 兄弟姉妹への影響が出る。 夫婦関係が悪くなる。 仕事に集中できない。

「受け入れれば解決する」というほど、簡単ではありません。

だから、この記事では「見守ればすべてよくなる」とは言いません。 ただ、「責め続ける」以外の道はあります。

完全に乗り越えた家庭だけを正解にしなくていい。 まだ途中の家庭も、途中のまま支援につながっていい。


克服のリアル: 親の覚悟は、たぶん一回では決まらない

「見守ろう」と決めた日があっても、翌朝にはまた揺れます。

同級生の制服姿を見る。 学校からプリントが届く。 進路希望調査の紙が来る。 祖父母に聞かれる。 SNSで楽しそうな子どもたちを見る。

そのたびに、親の心は戻されます。

だから、「責めずに見守る」とは、一度決めたら終わりの覚悟ではありません。 何度も崩れて、何度も言いすぎて、何度も謝って、少しずつ形になっていくものだと思います。

親も人間です。 焦る日があります。 腹が立つ日があります。 将来が怖くて眠れない日があります。

それでも、子どもを問い詰める前に、誰かに相談する。 学校に連絡する。 支援センターを調べる。 親の会に行く。 医療機関を検討する。

美談ではなく、そういう地味な行動の積み重ねが、家庭を少しだけ持たせてくれます。

克服というより、親子だけで抱え込まない形に組み替える。 不登校の現実的な一歩は、そこに近いのかもしれません。


📖 関連学校に行けない子どもの気持ちがわかる本児童精神科医による不登校児の心理理解と接し方。

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子どもの不登校で頼れる相談先

  • 公的機関学校の担任・学年主任・養護教諭(参考)

    まず学校内の状況共有、欠席連絡、保健室・別室登校などを相談したいとき。担任だけで抱えず、複数の先生につなげてもらうのも一案です。

  • 専門家(士業)スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー(参考)

    子どもの気持ち、親の不安、家庭・福祉との連携について相談したいとき。親だけが先に相談できる場合もあります。

  • 学校以外の居場所や学習支援を探したいとき。自治体によって名称や運営内容が異なります。

  • 国の不登校対策や、地域の相談窓口を確認したいとき。

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不登校は、子どもの問題だけでなく、親の仕事・夫婦関係・介護・家計にもつながることがあります。


まとめ: 見守ることは、何もしないことではない

子どもが学校に行かない朝、親は何度も迷います。

責めたくない。 でも焦る。 休ませたい。 でも将来が怖い。 信じたい。 でも本当にこのままでいいのか分からない。

その揺れは、親が弱いからではないと思います。 大事だから揺れるのだと思います。

ただ、揺れたまま家庭の中だけで抱えると、親も子どもも苦しくなります。

見守ることは、放置ではありません。 責めないことは、何も考えないことでもありません。

学校と細くつながる。 親だけでも相談する。 記録を残す。 学校以外の居場所を探す。 必要なら医療や福祉にもつなぐ。

そうやって、家庭の外に少しずつ足場を作っていく。

不登校は、すぐに答えが出ないことがあります。 でも、答えが出ない間も、親子が壊れないようにできることはあります。

まずは、子どもを責める前に、親がひとりで抱えないこと。

そこからでいいのだと思います。


免責事項

この記事は、子どもの不登校に悩む保護者に向けて、公的資料と公開情報、ネット上の声の傾向を整理した一般的な情報です。 個別の教育判断、医療判断、心理的支援の方針を示すものではありません。 いじめ、自傷他害の恐れ、虐待、強い心身症状、家庭内暴力、深刻な昼夜逆転や摂食・睡眠の問題などがある場合は、学校、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育委員会、医療機関、児童相談所、こども家庭センター等に相談してください。

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  • School Days(ある教室の物語) (2008)
    不登校・教室の物語を扱うドラマ。
  • リトル・ダンサー (2000)
    学校に馴染めない少年と親の関係。
  • ぼくの伯父さん (1958)
    ジャック・タチ監督。学校と社会に馴染めない眼差しの古典。
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