生活保護を相談する前に整理しておきたいこと
ぶっちゃけ、生活保護の窓口に行くのって、行く前にめちゃくちゃ調べてしまうテーマです。
「自分は受けられるのか」 「家族に連絡されるのか」 「車は手放さないといけないのか」 「ちょっとでも働いたら打ち切られるのか」 「窓口で追い返されるって本当?」
検索すると、「もらえないと言われた」「追い返された」という体験談と、「正当な権利だから堂々と行け」という両方の声が出てきます。
この記事では、申請を勧めることも止めることもしません。生活保護はどんな制度で、何が条件で、家族や財産はどう扱われるのか、相談に行く前にどんな準備があると話がスムーズかを、厚生労働省・自治体・支援団体の公開情報とネット上の声から整理します。
まず数字: 生活保護の受給率と申請の実態
生活保護は、生活に困った人のための「最後のセーフティネット」として、憲法25条の理念を背景に生活保護法に基づいて運用される制度です。「恥ずかしい」「甘え」と感じる方も多いですが、まずは数字で実態を整理します。
生活保護 受給世帯数の推移
| 年 | 受給世帯数 | 受給人員 |
|---|---|---|
| 2010年 | 約 141万世帯 | 約 195万人 |
| 2015年 | 約 163万世帯 | 約 217万人 |
| 2020年 | 約 164万世帯 | 約 206万人 |
| 2023年 | 約 165万世帯 | 約 202万人 |
世帯数は微増のまま高止まり、受給人員は2015年をピークに緩やかに減少しています。世帯は増えているのに人員は減っている=1世帯あたり人数が小さくなっている(=高齢単身世帯の増加)という構図です。
受給世帯の構成(2023年)
| 世帯類型 | 構成比 |
|---|---|
| 高齢者世帯 | 約 56% |
| 障害者・傷病者世帯 | 約 25% |
| 母子世帯 | 約 4% |
| その他(現役世代等) | 約 15% |
受給世帯の 8割超は高齢・障害・傷病 で、「働けるのに働かない人」というイメージとは実態がかなり違います。
生活保護基準額(東京都1級地・参考)
⚠️ 支給額は地域・年齢・世帯人数・家賃・各種加算によって変わります。以下は制度理解のための大まかな例であり、実際の受給額を保証するものではありません。
| 世帯 | 月額生活扶助+住宅扶助の目安 |
|---|---|
| 単身33歳 | 約 13万円 |
| 夫婦+子1人 | 約 22万円 |
| 単身65歳以上 | 約 11万円 |
| 母子3人 | 約 24万円 |
地域(級地)・年齢・世帯構成で基準額が決まり、収入がこの基準に届かない分だけ支給されるのが原則です。
申請から決定までの流れ
| ステップ | 期間 |
|---|---|
| 福祉事務所相談 | 即日 |
| 申請書提出 | 即日〜数日 |
| 訪問調査・資産調査 | 約 2週間 |
| 決定通知 | 申請後原則14日以内(調査に時間がかかる場合は最長30日) |
| 初回支給 | 支給時期は自治体に確認 |
法律上、決定は申請後原則14日以内とされており、調査に時間がかかる場合は最長30日まで延びることがあります。支給の時期は自治体によって異なるため、窓口で確認してください。「窓口で書類をもらえなかった」「相談だけと言われた」という体験談もありますが、申請の意思を示せば申請書を受け取る義務が自治体側にあります。
受給を躊躇する主な理由
数値化はしませんが、ネット上の声や支援団体の発信を見るかぎり、「申請が恥ずかしい」「家族(親族)に知られたくない」「手続きが面倒そう」「自分が受給できる基準が分からない」「断られそうで怖い」「自分は対象外だと思っていた」といった声が目立ちます。これらは気持ちや誤解の問題であって、制度上の受給可否とは別の話です。実際には自分は対象外と思い込んで申請していない人も一定数いると見られます。
申請却下・受給打ち切りの主な理由
却下・打ち切りの理由としては、「収入や資産が基準を上回っている」というシンプルなものが多いとされます。後述する扶養照会の運用変更もあり、親族の扶養を直接の理由に却下されるケースは、実態としては限定的と見られます。
扶養照会(親族への確認)の運用
- 原則: 親兄弟など扶養義務者への扶養可否照会
- 2021年以降: DV/虐待/長期間の音信不通などの場合は省略できる運用に
- 扶養照会は、扶養義務の履行が期待できると判断される親族に行われる
- 援助できない・しない場合でも、それだけで直ちに申請できないとは限らない
「家族に知られるのが怖くて申請できない」という方が多いですが、扶養照会は、扶養義務の履行が期待できると判断される親族に対して行われるものです。親族が援助できない・しないからといって、それだけで直ちに申請できなくなるとは限りません。
主な相談先
| 窓口 | 対応 |
|---|---|
| 各自治体 福祉事務所 | 申請窓口 |
| 法テラス(0570-078374) | 法律相談・代理申請可 |
| 自立相談支援事業窓口 | 生活困窮者支援 |
| 弁護士会の生活保護相談 | 無料 |
| NPO法人「ほっとぷらす」等 | 同行支援 |
窓口で不安がある場合は、弁護士やNPOに同行してもらう選択肢があります。同行があるだけで対応がスムーズになるケースが多く報告されています。
出典: 厚生労働省「被保護者調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/74-16.html
1. まず数字: 生活保護の利用実態
厚生労働省「被保護者調査」によると、生活保護を受給している人(被保護人員)は 約200万人前後、世帯数は 約160万世帯前後 で推移しています。
受給率は人口1,000人あたり 約16〜17人 で、ここ数年は微減傾向です。
世帯類型別では、高齢者世帯が約55%、傷病・障害者世帯が約24%、母子世帯が約4%、その他の世帯(現役・稼働年齢)が約16% と、高齢者の割合が大きいのが特徴です。
生活保護の規模感(被保護者調査・概数)
| 区分 | 規模 |
|---|---|
| 被保護人員 | 約 200万人 |
| 被保護世帯 | 約 160万世帯 |
| 受給率(人口千対) | 約 16〜17人 |
| 高齢者世帯の割合 | 約 55% |
| 傷病・障害者世帯 | 約 24% |
| 母子世帯 | 約 4% |
| その他(稼働年齢含む) | 約 16% |
参考の支給目安(2級地・単身・若年〜中年・住宅扶助込み・あくまで概算):月額 約11〜13万円程度。地域・年齢・世帯構成・住宅扶助上限で大きく変わります。
参考:
2. ネットの声を集めてみた
みんなの声
生活保護の相談を考えた人が『迷ったこと』(ネット投稿の質的レビュー・複数回答)
- 扶養照会で家族に連絡されるのが嫌100%
- 車を手放さないと受けられないと聞いた55%
- 窓口で追い返されるのが怖い75%
- 自分には受給資格がないと思っている40%
- 働きながらは受けられないと誤解していた30%
- 近所や知人に知られたくない25%
- 持ち家・賃貸の扱いが分からない15%
- 申請のしかた・必要書類が分からない20%
数値は割合ではなく、相対的な言及頻度のランキングを示しています。これは公開投稿の質的傾向把握であり、統計調査ではありません。
「扶養照会」と「窓口で追い返される」が圧倒的に多いのが、この制度の入口での詰まりやすさを表しています。
3. 制度の整理: 受給要件・扶養照会・財産・働きながら
A. 生活保護を受けられる人
生活保護法・厚生労働省の運用通知では、おおむね以下の 4つの要件 が整理されています。
- 収入が「最低生活費」を下回ること — 厚生労働大臣が定める基準額(年齢・世帯構成・地域・住宅費で異なる)未満の収入であること。
- 資産を活用していること — 預貯金・不動産・自動車などのうち、活用可能なものは原則として使ってからの利用。ただし運用上、生活に必要な範囲は保有が認められることがあります。
- 能力を活用していること — 働ける人は働く努力をしていること(求職活動など)。
- 他の制度を優先利用していること — 年金・雇用保険・障害年金・各種手当等が先。
B. 扶養照会の現在地
「家族に連絡が行く」と言われる 扶養照会 は、生活保護法上の扶養義務(民法877条)の確認手続きですが、近年、厚生労働省から運用の改善通知が複数回出ています。
- 2021年〜:申請者が「扶養照会を行わないでほしい」と申し出た場合、本人の意向や扶養が期待できない事情(関係不良・DV・経済的困窮・長期音信不通・高齢の親など)を踏まえ、福祉事務所の判断で照会を行わないことができる運用に。
- 2022年〜:同居していない親族のうち、3親等を超える親族・関係が10年以上途絶えている親族・DV加害者となっている親族などは原則として照会対象外。
- 申請時に「事情があるので扶養照会を控えてほしい」と申し出ることは、正当な相談行為です。
C. 自動車・持ち家・預貯金
- 自動車・持ち家・預貯金 — 原則として資産の活用が求められますが、通勤・通院・障害・地域事情などによって例外的な扱いが認められる場合があります。自己判断で処分する前に、必ず福祉事務所や支援団体に相談してください。
D. 働きながらの併用
「生活保護=働けない」は誤解です。収入が最低生活費を下回る範囲で働きながら受給することは制度上認められています。
- 給与収入から 基礎控除(月額1.5〜3万円程度+収入に応じた控除) が差し引かれ、残りの分だけ保護費が減額される仕組み。
- 「働いても全額減らされる」のではなく、一定額は手元に残る設計 になっています。
- ただし収入申告は必須。未申告は不正受給扱いになります。
E. 申請の権利と「水際作戦」
- 生活保護は、憲法25条の理念を背景に、生活保護法に基づいて運用される制度です。同法では申請に基づいて保護が開始されることが定められており、窓口の判断で「申請そのものをさせない」対応は不適切とされ、これを「水際作戦」と呼んで支援団体が問題視してきました。
- 申請書類は窓口にあり、書いて提出すれば原則受理されます。受理後、14日以内(最大30日)に決定通知が出ます。
- 一人で窓口に行きづらい場合、**支援団体が同行支援(申請同行)**してくれるケースがあります。
参考:
4. 相談室で整理した「申請前にやっておくと楽なこと」
「相談=申請」ではありません。窓口での相談だけで他制度を案内されることもあります。
5. このテーマで頼れる相談先
最終判断は専門家へ
生活保護・生活困窮で頼れる相談先
- 公的機関お住まいの市区町村 福祉事務所
生活保護の申請窓口。書類提出と面接で進めます。事前電話でも基本的な質問はできます。
- 公的機関生活困窮者自立支援制度 相談窓口
生活保護の手前の段階で家計・住居・就労を支援する制度。各自治体に設置。
- 公的機関法テラス(日本司法支援センター)
生活保護の申請拒否・打ち切り・不利益処分に対する法的相談。収入条件により無料相談あり。
東京都内中心の生活困窮者支援・申請同行・住居支援。メール相談可。
- サービス認定NPO法人 もやい
生活困窮・住居困窮の相談・申請同行・連帯保証人提供など。電話・メール相談可。
- サービス反貧困ネットワーク
全国の貧困問題支援団体のネットワーク。地域の相談先紹介・緊急支援。
- 公的機関DV相談+(プラス)
配偶者・親族からのDV・経済的支配で困窮しているとき。電話・メール・SNS。0120-279-889。
当サイトは「相談前の整理」を担う情報メディアです。具体的な意思決定の前には、必ず該当領域の専門家・公的機関にご相談ください。
6. 関連する悩みも整理しています
免責事項
本記事は、生活保護制度・扶養照会・財産保有要件・働きながらの併用・申請手続きの公的・公開情報とネット上の声を整理した一般的な情報です。 個別の受給可否・支給額・扶養照会の取り扱いは自治体・福祉事務所の判断によります。本記事は特定の自治体・支援団体・士業の推奨ではありません。 申請拒否・不利益処分・申請取消等に直面した場合は、法テラス・弁護士・支援団体にご相談ください。DV・経済的支配がある場合は、DV相談+(0120-279-889)・配偶者暴力相談支援センター(#8008)等にご相談ください。
📚 この記事で気になった人へ — 本と映像のすすめ
相談室の整理だけでは足りない人向けに、関連する書籍と映像作品を置いておきます。
- 万引き家族 (2018)
是枝裕和監督。貧困と制度の谷間の家族の物語。 - パラサイト 半地下の家族 (2019)
ポン・ジュノ監督。貧困のリアル。 - わたしは、ダニエル・ブレイク (2016)
ケン・ローチ監督。生活保護申請の壁を描く名作。
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