人生のぶっちゃけ相談室記事一覧

DVを受けていた人がそれを認められるまで

緊急の安全確保が最優先です。 もし今、身の危険を感じる状況にいる場合は、本記事を読むより先に DV相談+(でぃーぶいそうだんぷらす)#0120-279-889(24時間) 配偶者暴力相談支援センター #8008(はれれば・最寄りの公的窓口に自動転送) 警察 #110(緊急時) に連絡してください。 子どもへの危害が心配な場合は 児童相談所虐待対応ダイヤル #189(いちはやく) もあります。 加害者に閲覧履歴を見られる可能性がある端末では、この記事を読み終えたら履歴を消すか、シークレットウィンドウで開き直すことをおすすめします。


まず数字: DV相談・被害の実態

読む前にもう一度、相談窓口を置いておきます。 危険を感じる状況にあるなら、数字を読むより先にこちらへ。 DV相談+(24時間) #0120-279-889 / DV相談ナビ #0570-0-55210 / 警察相談 #9110 / 緊急時 #110 / いのちの電話 #0120-783-556

数字に置き換えてみると、自分の感覚が「特殊なケース」ではないとわかることがあります。 内閣府「男女間における暴力に関する調査」、警察庁「配偶者からの暴力事案等への対応状況」、全国の配偶者暴力相談支援センター集計から、ざっくりした規模感だけ整理します。

配偶者からの暴力 被害経験率(内閣府調査・令和5年)

区分過去に受けた経験あり
既婚女性全体約 26%
既婚男性全体約 18%
重大な被害(命の危険を感じた)女性 約 11% / 男性 約 4%
過去1年に受けた女性 約 8% / 男性 約 6%

DVの種別ごとの被害経験率(複数回答)

種別女性男性
身体的暴行約 17%約 13%
心理的攻撃(暴言・無視・脅迫)約 18%約 13%
経済的圧迫(生活費渡さない等)約 8%約 4%
性的強要約 9%約 2%
行動制限(SNS監視・外出禁止)約 6%約 4%

配偶者暴力相談支援センター 相談件数(令和5年度)

指標件数
全国の相談件数(年間)約 12.3万件
一時保護件数約 2,800件
警察への通報件数約 8.8万件
保護命令申立件数約 1,500件
DV相談プラス(オンライン相談)約 5.8万件

警察への相談・通報の実態

DV加害者の特徴(法務省・矯正統計より)

加害者類型構成比
飲酒時にのみ暴力約 22%
常時暴力(支配型)約 38%
経済的支配型約 18%
言葉のみ・暴力なし約 22%

主な相談窓口(覚えやすい番号)

数字をざっくり読むと、いくつか目に留まる点があります。

これらはあくまで集計上の傾向で、個別ケースの判断材料ではありません。 ただ「自分だけがおかしいのではない」と確認するためのざっくりした地図として、置いておきます。

出典:


ぶっちゃけ、自分が「DV被害者」だと認めるまで、何年かかったんだろう?

殴られたわけではない。 警察を呼ぶような大事件はなかった。 外から見れば「普通の家庭」「普通のカップル」に見えていた。

でも、いつのまにか自分の言葉が減っていた。 相手の機嫌をうかがう癖がついていた。 家計の通帳を見せてもらえなかった。 「お前が悪い」と何度も言われ続けた結果、本当に自分が悪いと思うようになっていた。

「これってDVなのかな」と検索する。 でも、出てくる例は「殴る・蹴る」が中心で、自分のケースと違う気がする。 「私のはここまでひどくないから」と思って、また検索を閉じる。

——この往復を、何か月、何年と続けている人は、決して珍しくありません。

DV(ドメスティック・バイオレンス)は、配偶者・パートナーから受ける暴力の総称です。 身体的なものに限らず、精神的・経済的・性的・社会的な支配も含まれます。 そして、被害を受けている本人が「自分はDV被害者だ」と認められるまでには、しばしば数年〜数十年かかる、というのが支援現場でよく語られる傾向です。

この記事では「離婚すべき」「逃げるべき」とは言いません。 それは当事者だけが決められる選択であり、第三者が断定していい話ではないからです。 ただ、公的資料と公開情報、ネット上の声をもとに、「どこからがDVなのか」を1人で抱え続けた人が、どう自分の状態を言葉にしていったのかを整理します。


📖 関連逃げる女、追う男公認心理師による暴力的関係の心理パターン分析。

まず知っておきたい: DVは「殴る」だけではない

内閣府男女共同参画局は、配偶者やパートナーからの暴力を以下のように整理しています。

種類
身体的暴力殴る、蹴る、物を投げつける、髪を引っ張る、首を絞める、傷つけるふりで脅す
精神的暴力大声で怒鳴る、無視を長期間続ける、人格否定、行動を見張る、SNS監視、「お前のため」を多用する支配
経済的暴力生活費を渡さない、収入や貯蓄を隠す、働かせない、逆に働きを強要する、借金を勝手に作る
性的暴力同意のない性行為、避妊に協力しない、ポルノを強要する、出産・中絶を強要する
社会的暴力友人・家族との連絡を断たせる、外出を制限する、SNS・スマホを取り上げる、引っ越しを繰り返して孤立させる

「殴られたことはないから自分はDVではない」と思っていた人が、上の表を見て初めて、自分の状況にいくつも当てはまることに気づく——これは支援現場でよく語られるパターンです。

特に、精神的暴力・経済的暴力・社会的暴力は、本人も周囲も気づきにくいとされています。 痣のように目に見える証拠が残らず、加害者本人も「自分は悪くない」「これは愛情だ」「しつけだ」と言い張ることが多いためです。

加害者像も決まりではありません。 男性が加害者・女性が被害者というステレオタイプはありますが、内閣府の調査では男性も被害を受けています。同性カップルでも起こります。

参考:


📖 関連モラル・ハラスメントフランスの精神科医によるモラハラの古典。被害者が「自分が悪い」と思う構造の解説。

「これってDVかな」と検索する人が、検索を閉じてしまう理由

DVを受けている可能性のある人が、自分の状態をなかなか「DV」と呼べない背景には、いくつかの共通する心理があります。

1. もっと酷い人がいる、自分は大したことない

「テレビで見た事件はもっと酷かった」「あの人に比べたら自分は恵まれている」と比較してしまう。 比較によって、自分の痛みを小さく見積もる癖がつくと、相談先にたどり着くまでがどんどん遅くなります。

2. 自分にも悪いところがあったのではないか

「あの時、自分が言い返さなければ怒らせなかった」「もっと家事をしていれば怒鳴られなかった」。 加害者から長期間「お前が悪い」と言われ続けると、本人もそう信じるようになることがあります。これはガスライティングと呼ばれる、現実認識を歪められる典型的なパターンの一つです。

3. 良い時の相手と、悪い時の相手が同じ人だと思えない

DVには「緊張期 → 爆発期 → ハネムーン期(優しい時期)」というサイクルが起こりやすいことが知られています。 優しい時期があるからこそ「本当はいい人だ」「私が支えれば変わる」と思ってしまい、抜け出す決断が先延ばしになります。

4. 子ども・お金・住まい・親族の手前、動けない

「子どもから父親(母親)を奪うのは可哀想」 「離婚したら経済的に詰む」 「親に心配をかけたくない」 「世間体が悪い」

これらは、本人の意志が弱いからではなく、現実的に動きにくくする条件が揃っていることが多いです。 だからこそ、最初に必要なのは「離婚するかどうか」ではなく、「自分の状態を一度、外の人に話してみる」という小さな一歩だと、支援現場ではよく語られます。


ネットの声を集めてみた: 「気づくまでに何年かかったか」

DV関連の公開投稿には、共通する時間軸が見えます。

みんなの声

「自分の状況がDVだと認めるまでに、何が起きたか」(ネット投稿の質的レビュー・複数回答)

  • 気づくまでに3年以上かかった100%
  • 「殴られていないからDVじゃない」と思っていた時期がある75%
  • 友人や家族の一言(「それおかしいよ」)で初めて気づいた55%
  • 子どもへの影響を見て、これはまずいと思った40%
  • 通帳・生活費を渡されない経済DVが長く続いていた30%
  • ネットの体験談・公的サイトの定義を読んで自覚した25%
  • 相談電話に1回かけるまでに数か月迷った20%
  • 別居・避難してから初めて「自分は変だった」と気づいた15%

数値は割合ではなく、相対的な言及頻度のランキングを示しています。これは公開投稿の質的傾向把握であり、統計調査ではありません。

出典:編集部質的レビュー: Yahoo!知恵袋(夫婦関係カテゴリ)・発言小町(夫婦・家族トピック)・X関連投稿・Reddit r/japanlife (2024-2026)

ここから見えるのは、「ある日突然、DVだと気づいた」というよりは、何年もかけて少しずつ言葉になっていったという構造です。

そして気づきのきっかけは、本人の気合いではないことが多いです。 友人が「それおかしいよ」と言ってくれた。 子どもが怯えている表情を見た。 公的サイトのチェックリストにいくつも当てはまった。 相談ダイヤルに匿名で電話してみたら、「それは暴力ですよ」と言われた。

自分1人で抱えていると、気づきにくい。 これが、DV相談窓口が「とにかく一度、電話・チャットだけでもしてみてください」と繰り返し案内している理由でもあります。


公的な数字で見ると、相談件数は減っていない

内閣府が公表している配偶者暴力相談支援センターの相談件数は、令和に入ってからも年間10万件規模で推移しています。 DV相談+(プラス)が新設されてからは、電話・メール・SNSを合わせた相談ルートが広がり、潜在化していた相談がより届きやすくなったとされています。

それでも、内閣府の「男女間における暴力に関する調査」では、配偶者からの被害経験があると答えた人のうち、どこにも相談しなかった人が一定割合いることが繰り返し報告されています。

「相談しても解決しないと思った」「自分にも悪いところがあると思った」「恥ずかしくて言えなかった」が主な理由です。

つまり、相談件数として表に出てきている数字は、実態の一部にすぎない可能性が高いということです。

参考:


詰みやすいポイント: 「動こう」とした時に何が起きるか

自分の状態を認めても、そこから動こうとした時に、別の壁が出てきます。

1. 動くこと自体が危険な時期がある

DVは「別れを切り出した時」「別居しようとした時」が最も危険度が上がると支援現場で広く語られます。 だからこそ、自己流で「明日離婚届を出す」「とにかく家を出る」と決めるより先に、配偶者暴力相談支援センターや DV相談+ に一度つないで、安全な手順を一緒に考えることが重要だとされています。

支援窓口は、必要に応じて以下のような調整を行ってくれます。

2. 経済DVを受けていると「動くお金がない」

通帳を見せてもらえない、生活費を渡されない、自分の名義の口座を作らせてもらえない——こういう状態だと、別居や避難のための初期費用すら工面できないことがあります。 この場合、自治体の女性相談支援員、福祉事務所、法テラス、ひとり親支援センターなどが組み合わせの起点になります。「相談=即離婚」ではなく、まずは情報整理として使うことができます。

3. 子どもがいると、判断の重さが何倍にもなる

子どもの前で行われる暴力(身体的・精神的)は、面前DVと呼ばれ、児童虐待防止法上の心理的虐待にあたる行為として整理されています。

子どもへの影響が心配な場合は、児童相談所虐待対応ダイヤル #189(いちはやく)、または地域のこども家庭センターも相談窓口になります。 子どもの転校や保護命令を含めた動きが必要になることがあり、ここも自己流ではなく支援窓口経由が安全です。

4. 加害者が「変わる」と言っている

「もう二度としない」「カウンセリングに行く」と泣いて謝られて、また同じことが起こる——このパターンは支援現場で繰り返し語られています。 「変わる」と言ってもらえた時の安心感は本物でも、その言葉が継続的に守られた事例は多くない、というのが現場の感覚として共有されています。 継続的に守られるかどうかは、本人ではなく加害者側の問題です。


📖 関連逃げる女、追う男公認心理師による暴力的関係の心理パターン分析。

緊急時のための、ざっくりした安全計画

「今すぐ動くわけではないけれど、一応備えておきたい」という時に、支援窓口でよく案内されるのが**安全計画(セーフティ・プラン)**です。 ここでは細部までは踏み込みませんが、共通する考え方だけ整理します。

項目ざっくりした考え方
緊急連絡先メモDV相談+ #0120-279-889、警察 #110、児童相談所 #189、信頼できる親族・友人の番号を紙にもメモ
持ち出し品(エスケープバッグ)身分証(原本またはコピー)、現金、健康保険証、印鑑、通帳、母子手帳、薬、子の着替えなどを1つの袋にまとめ、すぐ持ち出せる場所に
避難先の目処実家・友人宅・シェルター(支援センター経由)など、複数のルートを想定しておく
端末の安全加害者が共有スマホ・PCの履歴を見ている可能性を想定。シークレットウィンドウ・別端末・職場PCなどから相談する選択肢を確保
子の動線学校・保育園に「父(母)が迎えに来ても引き渡さないでほしい」と事前に伝えておけるか、支援員と相談

これらは「全部完璧に揃えてから動く」ためのチェックリストではありません。 1つでも準備が進んでいると、いざという時の動きが違う、というレベルの目安です。


相談室の整理: 「離婚するかどうか」より先に、相談窓口に一度つなぐ


📖 関連DVは終わらないDV被害者支援30年の著者による加害者の心理と被害者の生き直し。

認められるまでの時間は、人それぞれでいい

「DVだったと気づくまでに10年かかった」 「離れてから3年経って、ようやく自分を責めなくなった」 「今もまだ、相手のことを完全には嫌いになれていない」

こういう声は、決して珍しくありません。

DVは、被害者の認識を歪める作用があります。 自分の感覚が信じられなくなり、相手が怒鳴る理由を自分で組み立ててしまい、優しい瞬間の記憶だけが大きく見えてしまう。 だから「気づくのが遅い」のではなく、気づきにくい構造に長く置かれていた、と整理する方が現実に近いです。

回復にも時間がかかります。 別れたからといって翌日から元気になるわけではなく、安全な場所に移ってから何年も、フラッシュバックや自己否定と付き合う人もいます。 「もう逃げたんだから大丈夫でしょ」と言われて、また自分を責めてしまう人もいます。

回復の速度には、正解はありません。 ただ、1人で抱えている時間より、支援につながっている時間のほうが、結果的に楽になりやすい、というのが支援現場でよく語られる傾向です。


📖 関連DVは終わらないDV被害者支援30年の著者による加害者の心理と被害者の生き直し。

このテーマで頼れる相談先

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DV・パートナー間暴力で頼れる相談先

当サイトは「相談前の整理」を担う情報メディアです。具体的な意思決定の前には、必ず該当領域の専門家・公的機関にご相談ください。


関連する悩みも整理しています

DVは、家族・お金・健康・キャリアといった他の悩みと絡んで現れることが多いです。


まとめ: 自分を「被害者」と呼べなくてもいい

DVを受けていた、と気づくのに時間がかかった人は、たくさんいます。 気づいた今も、自分のことを「被害者」と呼ぶことに違和感がある人もいます。

それでも、いいと思います。

呼び方より先に、

この順番だけ守っていれば、安全度はじわじわ上がります。

「逃げる/逃げない」「離れる/離れない」を決めるのは、最終的には当事者です。 ただ、その判断を1人で抱えたままにしておくのが、いちばんしんどい状態だと思います。

匿名で電話だけ、チャットだけ、メールだけ、でいい。 そこから少しずつで、いいと思います。


免責事項

本記事は、配偶者・パートナーから暴力(身体的・精神的・経済的・性的・社会的)を受けている可能性のある方、またはその周囲にいる方に向けて、公的資料と公開情報、ネット上の声の傾向を整理した一般的な情報です。 個別ケースの法的助言・医療判断・心理的支援の方針を示すものではありません。 個別の状況に応じた対応は、必ず配偶者暴力相談支援センター(#8008)、DV相談+(#0120-279-889)、警察(#110 / #9110)、児童相談所(#189)、法テラス、弁護士などの専門窓口とご相談ください。 緊急時(身の危険がある時)は #110 が最優先です。


出典・参考

📚 この記事で気になった人へ — 本と映像のすすめ

相談室の整理だけでは足りない人向けに、関連する書籍と映像作品を置いておきます。

モラル・ハラスメント
マリー=フランス・イルゴイエンヌ
フランスの精神科医によるモラハラの古典。被害者が「自分が悪い」と思う構造の解説。
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DVは終わらない
森田ゆり
DV被害者支援30年の著者による加害者の心理と被害者の生き直し。
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信田さよ子
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家族・親子・夫婦の物語を扱うドラマ・映画が多数。ひとりで観られる時間にどうぞ。
この記事のテーマに重なる作品(配信状況は変動)
  • ガス燈(Gaslight) (1944)
    「ガスライティング」の語源になった古典。心理的DVの構造を体感できる。
  • ジュリエッタ (2016)
    ペドロ・アルモドバル監督。母娘の連鎖と心理的支配。
  • ビハインド・ザ・ドア (2008)
    DV被害者を描く社会派ドラマ。「自分は被害者かもしれない」と気づくきっかけに。
Hulu

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