奨学金、繰り上げ返済と投資、どっちが得か迷った人の話
ぶっちゃけ、毎月の引き落としを見るたびに「これ早く終わらせたほうがいいのかな」と思う夜がある。
20代後半。 ボーナスが入った。手取りで20万、30万、人によってはもう少し。 通帳を見て、ふと考える。
「奨学金、まだ200万くらい残ってるんだよな」 「でも周りはNISAで毎月3万積み立ててるって言ってる」 「貯金もしたい。結婚資金もいる。親には頼れない」
繰り上げ返済すべきなのか。 それとも投資に回すべきなのか。 あるいは生活防衛資金として置いておくべきなのか。
検索すると、YouTuberもブロガーも自信たっぷりに「繰り上げ一択」「いや投資が正解」「両方やれ」と言っていて、 読み終わってもなお迷っている。
この記事は、その迷いを 誰かの正解で殴る ためのものではありません。 公的データと、奨学金返済中の人がネットで書き残している本音、そして利率の単純比較から、 自分のケースに当てはめて考えるための材料 を整理していきます。
まず数字: 奨学金の平均残高と利率(JASSO)
日本学生支援機構(JASSO)「学生生活調査」「奨学金事業データ」から、奨学金の借入実態と返済の目安です。
大学卒業時の奨学金平均残高(JASSO貸与奨学金)
| 区分 | 平均借入総額 |
|---|---|
| 第一種奨学金(無利子)単独 | 約 240万円 |
| 第二種奨学金(有利子)単独 | 約 340万円 |
| 第一種+第二種 併用 | 約 500-600万円 |
| 大学院修了時(理系) | 約 700-1,000万円 |
JASSO貸与奨学金の利用者は 大学生の約2.6人に1人(令和4年度・学生生活調査)。
第二種(有利子)の利率(年度・利率方式で異なる)
- 利率固定方式: 年 0.3〜1.0% の範囲で推移(近年は低め)
- 利率見直し方式: 年 0.05〜0.5% の範囲で推移
- 元利均等返済が基本、繰上げは一括 or 月単位で可能
月の返済額の目安(15年返済の場合)
| 借入総額 | 月返済額の目安 |
|---|---|
| 240万円(第一種のみ) | 約 13,000円 |
| 340万円(第二種のみ) | 約 19,000-20,000円 |
| 500万円(併用) | 約 28,000-30,000円 |
繰上げ返済 vs 投資 の判断基準
- 奨学金利率 > 想定運用利回り: 繰上げ優先
- 奨学金利率 < 想定運用利回り: 投資優先
- 近年は奨学金利率が低いため、NISA等の長期投資(期待利回り3-5%)が有利になりやすい
- ただし投資は元本割れリスクあり。生活防衛資金(生活費3-6ヶ月分)を確保したうえで判断
詳細は/tools/shougakukin-toushi-sim でシミュレーション可能。
参考:
- 日本学生支援機構(JASSO) 学生生活調査・奨学金事業データ
- JASSO 第一種・第二種奨学金利率
1. 公的データで見る「奨学金、どれくらいの人がどれくらい借りているのか」
最初に事実だけ整理します。
日本学生支援機構(JASSO)『令和5年度 学生生活調査』『業務統計』によれば、
- 大学(昼間部)で奨学金を受給している学生: 約 55%(2人に1人以上)
- JASSO の貸与人数: 在学中・返還中を合わせて 約400万人規模
- 平均貸与額(第二種・無利子型を含む): 借入総額で 300万〜400万円台 が中央的なボリュームゾーン
- 第二種(有利子)の利率: 利率固定方式・利率見直し方式で おおむね 0.3% 〜 1.0% 前後(貸与終了年度の金利情勢で変動)
つまり、社会人の若年層の 2人に1人前後 が、何らかの形で奨学金返済を抱えながら働いている計算です。 これは「自分だけ重い」と思いがちなテーマですが、母集団としてはきわめてポピュラーな悩みです。
ソース:
2. 「繰り上げ返済 vs 投資」を判断するときの、たった一つの軸
ネット上の議論は派手ですが、原理はとてもシンプルです。
借りているお金の利率 < 投資の期待リターン → 投資が数字上は有利 借りているお金の利率 > 投資の期待リターン → 繰り上げ返済が数字上は有利
これだけです。
奨学金の利率を整理すると:
| 区分 | 利率の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 第一種(無利子) | 0% | 在学採用・予約採用ともに無利子 |
| 第二種(有利子・利率固定) | 約 0.3% 〜 1.0% | 貸与終了年度で確定し変わらない |
| 第二種(有利子・利率見直し) | 約 0.1% 〜 0.7% | 5年ごとに見直し |
| 民間教育ローン | 約 2% 〜 4%台 | JASSO 以外で借りた場合 |
一方、長期の投資リターンの目安としてよく引かれるのは、
- 全世界株式・米国株式インデックスの 過去長期平均リターン: 年 4〜7% 程度(為替・期間で変動)
- 日本の個人向け国債10年: 年 0.7〜1.0% 前後(直近の金利環境)
数字だけで見れば、第一種(無利子) や 第二種でも利率0.5%未満 の人は、 理論上は「投資に回したほうが数字は有利」になりやすいケースです。
逆に、民間の教育ローンを高利率で借りている人や、繰り上げの返済額にカード払いなど別の高金利債務が混ざっている人は、 まず利率の高い債務から潰す が定石になります。
ただし、ここからが大事です。
数字の話と、心理の話は別物です。
詳しい比較は 金融広報中央委員会「知るぽると」 の家計管理コーナーや、 金融庁 つみたてNISA・新NISA 制度説明 を参照してください。
3. ネットの声を集めてみた
Yahoo!知恵袋・発言小町・X(旧Twitter)・5ch(奨学金関連スレ)・Reddit r/japanFinance の 奨学金 × 投資 × 繰り上げ返済 関連の投稿から、 20-30代の「実際に迷って、どこに着地したか」を読みながらカテゴリ別に集計したものが下です。 (統計調査ではなく、編集部の質的レビューによる整理です)
みんなの声
20-30代「奨学金返済中、ボーナスや余剰資金をどう振り分けた?」(ネット集計・単一回答)
- 繰り上げ返済を最優先にした(精神的にラクになりたい)100%
- 新NISA・つみたて投資を優先した(利率差で判断)75%
- 生活防衛資金(半年分)を先に貯めた55%
- 繰り上げと投資を毎月の中で並行した40%
- 結婚・住宅購入が見えていたので現金温存30%
- 決められず放置していた25%
数値は割合ではなく、相対的な言及頻度のランキングを示しています。これは公開投稿の質的傾向把握であり、統計調査ではありません。
投稿で繰り返し出てきた本音
- 「毎月の引き落とし通知 を見るたびに気が重い。数字より気分の問題」
- 「親に肩代わりしてもらうのが嫌で、結婚前に終わらせたかった」
- 「第一種(無利子)なのに繰り上げした あとで、もっと投資に回せばよかったと後悔」
- 「投資に回したが、含み損になった時期 に『やっぱり繰り上げが正解だった』と動揺」
- 「ボーナス全額を繰り上げ に突っ込んだら、急な引っ越しで貯金が尽きた」
ここから見えるのは、「正解はひとつ」ではなく、その人の心の重さの置き場所による ということです。
4. 詰まりやすかったポイント
パターン1: 生活防衛資金が不十分なまま繰り上げした
奨学金を一気に減らした直後に、転職・退職・病気・引っ越し・冠婚葬祭が重なり、 手元現金が底をついてカード払い・リボに頼った という声がかなりあります。
繰り上げ返済は途中で「返してもらう」ことができません。 JASSO の場合、繰り上げ分は元本から減りますが、緊急時に資金として引き出すことはできない、というのは投資との大きな違いです。
パターン2: 利率を確認しないまま「とにかく早く返したい」と動いた
第一種(無利子)を借りていた人が、利率0%の借金を急いで返してしまい、 結果として手元資金が薄くなったというパターンも目立ちます。
無利子の奨学金は、数字だけ見れば 「世の中でもっとも有利な借金」 に近い性質を持ちます。 急ぐ前に、自分の借りているのが第一種か第二種か、第二種なら利率は何%か、を確認するのが先です。
パターン3: 投資に回したが、含み損のタイミングで精神が持たなかった
投資の期待リターンは長期での平均値であり、短期では大きく下振れすることがあります。 直近の含み損を見て「やっぱり繰り上げが正解だった」と感じる人は珍しくありません。
数字上の有利・不利と、心の持ちこたえやすさは別物だ、というのは、 投資側に振った人の投稿でも繰り返し出てくるテーマです。
パターン4: 減額返還・返還期限猶予制度を知らないまま、無理して払い続けた
JASSO には、年収に応じて月々の返還額を減らせる 減額返還制度、 失業・収入減のときに返還を一時的に止められる 返還期限猶予制度 があります。 「払えないから滞納するしかない」 と思い込んでいた人が、後からこの制度を知って驚くケースが投稿の中に多いです。
5. 「繰り上げ vs 投資」判断の早見表
あくまで一般的な整理であり、個別アドバイスではありません。 最終判断は FP や税理士、JASSO 相談センターと一緒に詰めるのが安全です。
| 自分の状況 | 数字上の傾向 | 検討の方向 |
|---|---|---|
| 第一種(無利子)・生活防衛資金あり | 投資の期待リターン > 0% | NISA等の長期投資の検討余地 |
| 第二種(利率0.3〜0.5%)・生活防衛資金あり | 期待リターン > 利率 | 並行 or 投資寄りも視野 |
| 第二種(利率0.8〜1.0%)・生活防衛資金あり | 拮抗 | 心理的負担で判断する人が多い |
| 生活防衛資金が半年分未満 | リスク許容度が低い | まず現金確保が優先されやすい |
| 民間教育ローン(2%超) | 利率 > 期待リターンに近い | 高利率債務の圧縮が定石 |
| 収入減・転職予定あり | 流動性重視 | 繰り上げより現金温存・制度活用 |
6. 相談室で整理した「次の一手」
7. 投資側に振るなら、知っておきたい制度
繰り上げではなく投資側に振る判断をした場合、最低限おさえておきたい公的制度を整理しておきます。
- 新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠): 年間最大360万円、生涯非課税枠1,800万円。長期・分散の積立であれば、まず検討対象になることが多い枠組み。
- iDeCo(個人型確定拠出年金): 掛金が全額所得控除。ただし60歳まで引き出せない。流動性が低い分、減税効果が大きい。
- 企業型DC・マッチング拠出: 勤め先に制度がある場合、マッチング拠出で会社掛金に上乗せできる。
詳細・最新条件は 金融庁 新しいNISA と iDeCo公式サイト を必ず参照してください。 制度は改定が入りやすい領域なので、年度初めに最新情報を確認するのが安全です。
8. 「親に肩代わりしてもらうか」問題
声の集計で意外と多かったのが、「親が払うと言ってくれているが、受けるべきか迷っている」 という投稿です。
理由はだいたい、
- 「自分の借金は自分で返したい(精神的な独立)」
- 「親の老後資金を削りたくない」
- 「結婚相手の家族に説明しにくくなる」
- 「兄弟との不公平感を作りたくない」
このテーマは数字より家族関係の問題に近く、正解はありません。 ただ、ネットの投稿で繰り返し見られるのは、「親に出してもらった後で、もっと自分で返せばよかったと後悔した人」も、 逆に「意地で断った後で、もっと素直に受けてもよかったと思った人」も、両方いる ということです。
家族会議の前に、JASSO の残高・利率・残月数を一覧化しておくと、感情論ではなく数字ベースで話しやすくなります。
9. 相談先
最終判断は専門家へ
このテーマで頼れる相談先
- 公的機関JASSO 奨学金相談センター
返還・繰り上げ・減額返還・返還期限猶予などの公式相談窓口。電話・チャット・問い合わせフォームあり。
- 公的機関金融広報中央委員会「知るぽると」
公的な家計・金融教育サイト。NISA・iDeCo・家計管理の中立的な解説あり。
- 公的機関金融庁 新しいNISA特設サイト
新NISAの制度・非課税枠・対象商品の公式解説。最新の制度改定情報はここが起点。
- 公的機関法テラス(日本司法支援センター)
返済が困難で滞納・差押えの不安があるとき。多重債務状態に近い場合は債務整理の相談も。
- 専門家(士業)ファイナンシャル・プランナー(FP)(参考)
繰り上げ・投資・住宅・結婚・保険を含めたライフプラン全体での試算。日本FP協会の検索窓口で地域別検索可。
- 専門家(士業)税理士(NISA・iDeCo・副業確定申告まで含めて相談したい場合)(参考)
iDeCoの所得控除、副業との合算、ふるさと納税との兼ね合いまで含めて整理したいとき。
- サービス証券会社・銀行のNISA口座窓口(参考)
実際にNISA口座を開く際の制度説明。商品の選択は中立的な情報(金融庁・知るぽると)とあわせて検討するのが安全。
当サイトは「相談前の整理」を担う情報メディアです。具体的な意思決定の前には、必ず該当領域の専門家・公的機関にご相談ください。
10. 関連する悩みも整理しています
- 「家族にバレずに 任意整理した人」のリアル集計 — 借金が膨らんで奨学金以外の整理が必要になった場合の選択肢を整理しています。
- 健康診断で『要再検査』と出た夜の過ごし方 — お金以外の「夜の不安」の置き場所についても、揺らぎとして共通するテーマがあります。
まとめ: 数字の正解より、夜に眠れる選択を
繰り上げ返済と投資の議論は、利率という冷たい数字で割り切れるはずなのに、 実際にやってみると、「数字では投資が有利でも、毎月の引き落としを見るたびに気が重い」という人がたくさんいます。
数字の有利・不利を踏まえつつ、最終的には 自分が夜に通帳を見て、ちゃんと眠れる選択 を選んでいい。
奨学金は、若い時期に未来への投資として借りたお金です。 それを返している自分を、せめて自分は責めないでほしいと思います。
繰り上げを選んでも、投資を選んでも、両方並行でも、 「考えた上で選んだ」 という事実は、後から振り返ったときに必ず効きます。
末尾の免責
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出典・参考
- 日本学生支援機構(JASSO)『学生生活調査』『奨学金事業統計』『第一種・第二種奨学金利率』
- 金融広報中央委員会「知るぽると」家計管理・金融商品コーナー
- 金融庁『新しいNISA』制度説明
- 厚生労働省 国民生活基礎調査(若年層の貯蓄・所得)
- 法テラス『多重債務・債務整理』案内
- Yahoo!知恵袋(奨学金・繰り上げ返済タグ)・発言小町(奨学金トピック)・X奨学金関連投稿・5ch 奨学金スレ・Reddit r/japanFinance(2023-2026 編集部レビュー)
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