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親を嫌いになった日 — 言えないけど抱えている人たちの本音

ぶっちゃけ、親を嫌いになってはいけないんだろうか?

ある日、何でもない出来事をきっかけに、ふと気づきます。

「私、もう親のことが好きじゃないかもしれない」 「会うとしんどい」 「電話に出るのが嫌で、画面を裏返してしまう」 「親の名前を見ると、胃のあたりが重くなる」

そう気づいたときの感情は、怒りでも悲しみでもなく、たいてい 静かな疲れ に近いものです。

「親を嫌いだなんて、人として失格なんじゃないか」 「育ててもらったのに恩知らずなんじゃないか」 「世間ではもっとひどい親もいる。自分は贅沢なんじゃないか」

そうやって自分を責めるところまでが、セットになっています。

この記事では、「親を嫌うこと」を悪いこととも、正しいこととも言いません。 絶縁すべきとも、許すべきとも言いません。

ただ、親を嫌いになった日を抱えている人が、自分の中で何が起きているのかを整理するため に、公的資料とネット上の声を集めてみました。


まず: 親を嫌いになる人は、けっこう多い

「親が好き」「親に感謝している」と答える人は、各種意識調査でいつも一定数います。 ただ同時に、「親との関係がしんどい」「親と距離を置いている」と答える人も、決して少なくありません。

内閣府『高齢者の生活と意識に関する国際比較調査』や、内閣府『家族と地域における子育てに関する意識調査』などの公的調査では、親子関係に 「満足」と「不満」が両方広く存在する ことが繰り返し確認されています。

また、家族関係を背景にした相談は、法務省の人権擁護機関や、こども家庭庁、各自治体の相談窓口にも一定数寄せられています。 児童虐待相談対応件数(こども家庭庁)は年々増加し、令和の最新公表値では年間20万件を超える水準で推移しています。

これは「過去にひどい目に遭った子ども」が、大人になって今もそれを抱えているケースが少なくない、ということでもあります。

「親が嫌い」と感じる人は、

など、背景はさまざまです。

「親を嫌いになった」気持ちは、たった一つの理由から来るとは限りません。

参考:


📖 関連毒親の正体精神科医による毒親問題の整理。「嫌い」と気づくことの意味も。

「親が嫌い」と言える相手がいない問題

親への不満は、なかなか口に出せません。

友人に話せば、「でも親なんだから」と言われそうで怖い。 配偶者に話せば、「自分の親が悪く言われた気がする」と気まずくなることがある。 兄弟姉妹に話せば、「あなたは恵まれていたほう」と言い返される。 カウンセラーに話せば、本格的に向き合うことになりそうで、まだその覚悟がない。

だから、多くの人が 検索窓に向かって本音をこぼします

「親 嫌い 罪悪感」 「実家 帰りたくない」 「親に会うと体調悪くなる」 「親 縁切り やり方」 「毒親 とは どこから」

検索結果を読んでも、ぴったりの答えは見つかりません。 ただ、「同じことを検索している人がたくさんいる」とわかるだけで、少し息がつけることはあります。


ネットの声を集めてみた: みんな、どのタイミングで嫌いになったのか

Yahoo!知恵袋・発言小町・X(旧Twitter)・Reddit などの公開投稿を質的にレビューしていくと、「親を嫌いになった瞬間」には、いくつか共通する型がありました。

みんなの声

30〜50代『親を嫌いになった瞬間』(ネット投稿の質的レビュー・複数回答)

  • 進路・結婚・出産など人生の選択に過剰に口を出された100%
  • 兄弟姉妹と露骨に差をつけられていたと大人になって気づいた75%
  • 孫が生まれて、子育てに口を出されて限界が来た55%
  • 親の介護が始まって、隠れていた性格が見えた40%
  • 経済的に依存・無心されることが続いた30%
  • 幼少期の出来事を、大人になって思い出した・言語化できた25%
  • 配偶者・パートナーへの態度が許せなかった20%

数値は割合ではなく、相対的な言及頻度のランキングを示しています。これは公開投稿の質的傾向把握であり、統計調査ではありません。

出典:編集部質的レビュー: Yahoo!知恵袋・発言小町・X・Reddit r/japanlife・掲示板系投稿の傾向整理 (2024-2026)

ここで目立つのは、「ある日突然嫌いになった」ではなく、何年もかけて積み上がっていた違和感が、ある出来事で言語化された というパターンの多さです。

「子どもの頃から嫌だった気持ちに、40代でやっと名前がついた」 「自分が親になってみて、親のしてきたことの異常さに気づいた」 「介護で実家に通うようになって、見たくなかった面が見えた」

——そう書く人が多くいます。

つまり、「親を嫌いになった日」とは、嫌いになり始めた日ではなく、自分の感情を自分に許せた日 であることが多いのです。


絶縁した人 vs 距離を置いた人 vs 関係を続けた人

ネット上の体験談を読むと、「親が嫌い」と感じた人の選択は、大きく3つに分かれます。

みんなの声

『親が嫌い』と感じた人がとった距離の取り方(ネット投稿の質的レビュー)

  • 完全に絶縁・連絡を断った30%
  • 物理的に距離を置く(遠方に住む・会う頻度を減らす)75%
  • 心理的に距離を置く(連絡は最低限・期待しない)100%
  • 関係は維持しつつカウンセリング等で自分の側を整える40%
  • 表向きは普通、内心はもう諦めて関係を続けている55%

数値は割合ではなく、相対的な言及頻度のランキングを示しています。これは公開投稿の質的傾向把握であり、統計調査ではありません。

出典:編集部質的レビュー: Yahoo!知恵袋・発言小町・X・掲示板系投稿の傾向整理 (2024-2026)

完全に絶縁した人は、ネット上では声が大きく見えますが、実数としては多数派ではなさそうです。 むしろ多いのは、「形式上の関係は残しながら、心の中ではすでに線を引いている」 層です。

そして、その層の人たちが共通して書いていることがあります。

「絶縁する勇気はない」 「世間体や法事のこともある」 「介護や相続の問題が残っている」 「親が死ぬまでなんとか持たせたい」 「でも、心はもう動かない」

これは弱さではなく、現実的な落としどころとして選ばれている形でもあります。


📖 関連毒親の正体精神科医による毒親問題の整理。「嫌い」と気づくことの意味も。

罪悪感は、たぶん消えない。でも、置き場所は変えられる

「親を嫌い」と気づいた人が、次に直面するのが罪悪感です。

「育ててもらったのに」 「親も大変だったはず」 「自分が冷たい人間なのではないか」 「死んだあと、後悔しないか」

この罪悪感は、たぶん 完全には消えません。 親子関係の根は深く、長い時間をかけて作られたものを、数年で清算するのは難しいからです。

ただ、罪悪感を「消す」のではなく、置き場所を変える ことはできます。

状態起きやすいこと
罪悪感を抱えたまま我慢する体調を崩す・配偶者にイライラする・自分の子に強く当たる
罪悪感を否定する(「私は悪くない」だけで止める)怒りが消えず、何年も同じ恨みを繰り返す
罪悪感を「あるもの」として横に置く距離は取りつつ、必要な対応(介護・相続)はできる
罪悪感の出所を専門家と整理する子ども時代の出来事と、今の自分の対処を分けられるようになる

ここで大事なのは、「罪悪感がある=関係を戻すべき」ではない ということです。

罪悪感は感情で、関係の維持は判断です。 別々のものとして扱ったほうが、生活が壊れにくくなります。


「自分の子に、親と同じことをしないか怖い」問題

「親が嫌い」を抱えている人の多くが、もうひとつ別の不安も抱えています。

「自分も、親と同じことを我が子にしてしまうんじゃないか」

これは、ネット投稿でも非常に頻出する声です。

ここで、断定的な診断はできません。

ただ、「親と同じことをしている自分」に気づけるという事実そのものが、すでに一段違う場所にいることを意味するともいえます。

公的資料でも、養育者自身が過去に虐待や強い叱責を受けていたケースで、世代を超えた連鎖が起こり得ることが指摘されています(厚生労働省・子ども虐待対応の手引き等)。 同時に、それは 「気づき・支援につながる」ことで断ち切れる ものとされています。

つまり、「親みたいになりたくない」という不安は、そのまま予防の入口 にもなります。

参考:


「うちはまだ軽いほうだから」という比較で止まらないでほしい

ネットには、すさまじい体験談がたくさんあります。

身体的暴力、ネグレクト、性的虐待、極端な経済的搾取、宗教二世、ヤングケアラーとして子ども時代を奪われた人、長年の精神的支配。

これらを読んでいると、自分の親への嫌悪感が「贅沢」に思えてくる人がいます。

「うちは殴られたわけじゃないし」 「ご飯は出てきたし」 「学費は出してもらったし」 「他の家に比べたら全然軽い」

そうやって、自分の感情に上書きをかけてしまう。

でも、しんどいかしんどくないかは、他人と比較して決めるものではありません。 自分の体と心が反応している以上、そこには何かがあります。

軽い・重いの判定をする前に、「自分は今、しんどいと感じている」事実そのものは認めていい のだと思います。


ヤングケアラーだった人、今も影響が残っている人へ

「親を嫌いになった日」を語る人の中には、子ども時代に家事や介護・きょうだいの世話を担っていた、いわゆる ヤングケアラー だった人もいます。

厚生労働省は、ヤングケアラーを「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」と整理し、子どもの育ちや学業、心身への影響を指摘しています。

子どものうちは「これが普通」と思っていた負担が、大人になってから怒りや疲労感として出てくることがあります。

これは、自分の弱さではなく、過去に背負ったものの重さ が今に届いているということでもあります。

参考:


児童期の被害が今に影響している場合は、専門家へ

幼少期に身体的・精神的・性的な被害があり、今もフラッシュバック、不眠、過度な不安、人間関係の困難などにつながっている場合、それは「親を嫌いか好きか」の話を超えています。

そのときは、心理職(公認心理師・臨床心理士)や精神科・心療内科などに相談する選択肢があります。

「親を許せない自分」を自分で責めるのではなく、過去に何が起きたのかを、安全な場所で整理する ステップに入れる人もいます。

公認心理師は2017年に国家資格化された心理職の専門家で、医療・福祉・教育・司法など複数の領域で活動しています。

参考:


うちの整理: 親を嫌いになった気持ちは、まず置き場所を作るところから


📖 関連アダルト・チルドレンと家族AC概念の日本での第一人者による解説。罪悪感の正体を知る本。

「親が死んだあと後悔するよ」問題

「親が嫌い」と書くと、必ずと言っていいほど現れるコメントがあります。

「親が死んだあと後悔するよ」 「会えるうちに会っておきなさい」 「亡くなってから泣いても遅い」

これは、半分本当で、半分そうとも限りません。

実際に、親の死後に「もっと話せばよかった」と感じる人はいます。 一方で、「絶縁したまま死別したけれど、その判断は正しかった」と書く人もいます。

どちらが正解、というものではありません。

ただ、一つ言えるのは、「後悔しないため」を理由に、今の自分を傷つける関係を続ける必要はない ということです。

未来の自分の感情を完全に予測することはできません。 予測できない後悔のために、今のしんどさを我慢し続けるのは、合理的とは言えない場面もあります。

もし将来後悔したくないなら、その方法は「会い続ける」以外にもあります。

これらも、後悔を減らす立派な準備です。


📖 関連毒になる親ロングセラー。「あなたは悪くない」と語りかける名著。

このテーマで頼れる相談先

最終判断は専門家へ

親との関係で頼れる相談先

  • 家族関係・差別・いじめ・パワハラなど、人権に関わる悩み全般の相談窓口。法務局・地方法務局の人権擁護機関が運営。匿名相談可。

  • 現在進行形で児童虐待が疑われる場合の通告・相談窓口。大人になってから自分の被害体験を相談したい場合は、各自治体のこども家庭センター・婦人相談所等へ。

  • 子ども時代に家族の世話を担っていた・現在も担っている人の相談窓口・支援情報。

  • 専門家(士業)公認心理師・臨床心理士(心療内科・精神科・カウンセリングルーム)(参考)

    幼少期の出来事が現在の生活に影響している、不眠やフラッシュバックが続くなどの場合に。日本心理学会・各自治体精神保健福祉センターからも相談先情報が得られます。

  • 親の介護に関する相談窓口。親と直接話すのが難しい状況でも、ケアマネジャーや介護サービスを介して関係を成立させる方法を相談できます。

  • 専門家(士業)弁護士・司法書士(相続・財産・縁切り関連)(参考)

    相続放棄、扶養義務、親からの金銭要求への対応など、法的な距離の取り方を相談したいとき。法テラスの無料相談制度も検討対象。

当サイトは「相談前の整理」を担う情報メディアです。具体的な意思決定の前には、必ず該当領域の専門家・公的機関にご相談ください。


関連する悩みも整理しています

親との関係は、介護・相続・離婚・育児など、生活のほかの局面とつながりやすいテーマです。


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まとめ: 「嫌い」を抱えて生きることは、できる

親を嫌いになった日があっても、人生は続きます。

完全に許す必要はありません。 完全に縁を切る必要もありません。 完全に好きにならなくてもいいし、完全に憎み続ける必要もありません。

「嫌い」と「関係を続けるかどうか」を切り離す。 「感情」と「介護・相続などの事務」を分ける。 「子ども時代に受けた影響」と「今の自分の対処」を分ける。

そうやって少しずつ整理していくと、親への気持ちを抱えたままでも、自分の生活は守れます。

「親を嫌いになった」自分を責める前に、まず誰にも見せないノートに、今日の気持ちを一行だけ書いてみる。 そこからでいいのだと思います。


免責事項

この記事は、親との関係に悩む方に向けて、公的資料と公開情報、ネット上の声の傾向を整理した一般的な情報です。 個別の家族関係・心理的状態・法的問題への助言ではありません。 児童虐待、家庭内暴力、性的被害、強い心身症状、自傷他害の恐れがある場合は、児童相談所(#189)、警察(#110)、よりそいホットライン(0120-279-338)、各自治体の精神保健福祉センター、医療機関等へご相談ください。 児童期の被害が現在の生活に影響している場合は、公認心理師・臨床心理士・精神科医など、心理・医療の専門家への相談を検討してください。


出典・参考

📚 この記事で気になった人へ — 本と映像のすすめ

相談室の整理だけでは足りない人向けに、関連する書籍と映像作品を置いておきます。

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  • 八日目の蝉 (2011)
    「母とは」を問い直す物語。
  • 誰も知らない (2004)
    是枝裕和監督。親への複雑な感情を描く。
  • 毒親 (2017)
    毒親問題を扱うドキュメンタリー。
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