相続でもめた家・もめなかった家、何が違ったか
ぶっちゃけ、相続でもめる家って、ものすごい資産家だけだと思っていませんか。
でも実際には、そこまで大きなお金ではなくても、家族はもめます。
実家を誰がもらうのか。預金をどう分けるのか。親の介護をした人は多くもらえるのか。親から生前援助を受けていたきょうだいはどう扱うのか。葬儀代は誰が出すのか。墓じまいの費用は誰が負担するのか。親の通帳を管理していた人は信用できるのか。
親が亡くなった悲しみの中で、急にお金と不動産と過去の不満がテーブルに乗る。それが相続です。
「うちは仲がいいから大丈夫」「大した財産はないから大丈夫」「兄弟で話せば分かる」——そう思っていた家ほど、いざ始まると詰まることがあります。
この記事では、相続の正解を断定する記事にはしません。個別の法的・税務判断もしません。
公的情報とネット上の声をもとに、相続でもめた家ともめなかった家は、何が違ったのかを整理します。
結論を先に言うなら、差は「家族仲」だけではありません。
親の意思が見える形で残っていたか。財産の全体像が分かっていたか。実家をどうするか話していたか。介護負担の不公平感を放置していなかったか。早めに専門家へつないだか。
ここです。
まず数字: 相続税の申告率・遺産分割調停件数の実態
国税庁「相続税の申告事績」、最高裁判所「司法統計年報(家事編)」、法務省データから、相続の実態です。
相続税の申告率
- 年間死亡者数のうち、相続税の申告対象になった割合: 約 9.6%(令和4年・国税庁)
- 2015年(基礎控除縮小)以前は約4%だったが、現在は約2倍に
- 残り約90%は基礎控除内で申告不要
相続税の基礎控除と平均申告額
- 基礎控除: 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数
- 例:配偶者+子2人(法定相続人3人)= 4,800万円
- 1件あたりの相続税平均納税額: 約 1,855万円(令和4年・課税対象者のみ)
- 全申告者のうち納税額0円(配偶者軽減等で実質非課税): 約 15-20%
遺産分割でもめた家(調停・審判申立件数)
最高裁「司法統計年報」より:
| 遺産分割の調停・審判 | 年間申立件数 |
|---|---|
| 遺産分割調停の申立 | 約 13,000件/年 |
| 遺産分割審判の申立 | 約 2,000件/年 |
| 申立内容のうち、5,000万円以下の事案 | 約 75%(「うちは関係ない」と思いがち) |
揉めやすい遺産規模
| 遺産総額 | 調停申立比率(全体に対する割合) |
|---|---|
| 1,000万円以下 | 約 33% |
| 1,000-5,000万円 | 約 42% |
| 5,000万円-1億円 | 約 12% |
| 1億円超 | 約 13% |
→ 遺産5,000万円以下の家庭が、調停の8割近く。「お金持ちじゃないからもめない」は誤解。むしろ実家不動産1つ・預金少しの家が一番もめやすい。
主な争点(複数回答可)
| 争点 | 出現率 |
|---|---|
| 不動産の評価・分割方法 | 約 65% |
| 介護負担への寄与分主張 | 約 35% |
| 生前贈与の特別受益主張 | 約 30% |
| 遺言書の有効性 | 約 15% |
参考:
- 国税庁「相続税の申告事績の概要」
- 最高裁判所「司法統計年報(家事編)」
- 法務省「相続に関する民事法制」
まず現実: 相続税がかかる家だけが相続でもめるわけではない
相続というと、相続税を思い浮かべる人が多いです。でも、相続でもめるかどうかと、相続税がかかるかどうかは別です。
国税庁の令和5年分相続税申告事績では、相続税の課税対象となった被相続人の割合は9.9%でした。つまり、相続税がかかるのは亡くなった人の約1割です。
一方で、相続の話し合いは、相続税がかからない家にも起きます。
預貯金が数百万円、実家の土地建物、車、親の保険、退職金、親族への貸し借り、葬儀費用、墓の管理、介護中の立替金——金額が大きくなくても、分けにくいものがあると揉めます。
特に実家の不動産はやっかいです。現金なら分けやすい。でも実家は、誰かが住むのか、売るのか、貸すのか、空き家にするのかで意見が割れます。
さらに、法務省は2024年4月1日から相続登記が義務化されたと案内しています。相続人は、不動産を相続で取得したことを知り、かつその所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する必要があります。正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
つまり、「そのうち名義変更すればいい」は、以前より通りにくくなっています。
参考:
- 国税庁「令和5年分 相続税の申告事績の概要」 https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sozoku_shinkoku/index.htm
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
もめた家に多かった火種
1. 遺言がない、または内容があいまい
「長男に任せる」「みんなで仲良く分けて」「実家は誰かが守って」「お母さんの面倒を見た人に多めに」——気持ちは分かりますが、相続の場面ではあいまいです。
2. 実家が一番大きな財産
長男が住みたい、長女は売って分けたい、遠方のきょうだいは管理できない、親と同居していた人は出ていきたくない、誰も住まないが思い出があって売りたくない、固定資産税や修繕費を誰が払うのか決まらない——分け方が難しくなります。
3. 介護した人の不満が残っている
「同じ取り分は納得できない」——介護の不公平感は、相続でお金の話に変わります。
4. 親からの生前援助に差がある
もらった側は覚えていない、または当然だと思っている。もらっていない側は、ずっと覚えている。この温度差が揉めます。
5. 親の通帳を一人が管理していた
領収書やメモがないと、疑いだけが膨らみます。
ネットの声を集めてみた: 相続でもめた理由は「金額」より「納得感」
みんなの声
50〜70代「相続でもめた理由」(ネット投稿の質的レビュー・複数回答)
- 実家不動産の分け方で揉めた100%
- 介護した人としていない人の不公平感が出た75%
- 遺言がなく話し合いが長引いた55%
- 親の預金管理が不透明だった40%
- 生前贈与・援助の差が問題になった30%
- 専門家に相談するのが遅れた25%
- きょうだいの配偶者が口を出してこじれた20%
数値は割合ではなく、相対的な言及頻度のランキングを示しています。これは公開投稿の質的傾向把握であり、統計調査ではありません。
ここで見えるのは、相続でもめる原因は「欲深さ」だけではないということです。
むしろ、「自分だけ損をしている気がする」「親の面倒を見たのに評価されない」「勝手に進められた」「説明してもらえない」「過去の不公平が清算されない」という感覚です。
相続は、財産分けでありながら、家族の歴史の精算にもなってしまいます。
もめなかった家に多かった準備
財産の一覧があった、遺言やエンディングノートで意思が見えていた、介護負担を記録していた、早めに専門家へ相談した——もめなかった家は、全部を家族だけで決めようとしない傾向があります。
第三者を入れることで、家族同士の直接対決を少し減らせる場合があります。
相談室の整理: 相続は「誰がいくら」より先に、見える化が大事そうです
克服のリアル: 相続は「仲良し家族テスト」ではない
相続でもめると、かなり傷つきます。
でも、相続は家族の本性が出るというより、準備されていない家族に重すぎる問題が一気に来るものだと思います。
だから、相続でもめたとしても、「家族失格」とまでは思わなくていいです。ただ、こじれる前に外へ出す。
家族だけで抱えないことが、相続ではかなり大事です。
このテーマで頼れる相談先
最終判断は専門家へ
相続でもめそうなとき・もめたときの相談先
- 専門家(士業)司法書士(参考)
相続登記、不動産名義変更、戸籍収集、遺産分割協議書の作成支援などを相談したいとき。
- 専門家(士業)税理士(参考)
相続税申告、財産評価、生前贈与、税務調査、納税資金など税金面を確認したいとき。
- 専門家(士業)弁護士(参考)
遺産分割でもめている、遺留分、使い込み疑い、介護負担、生前贈与、親族間の対立が強いとき。
- 専門家(士業)行政書士(参考)
戸籍収集、相続関係説明図、遺産分割協議書、金融機関手続きなど書類面を相談したいとき。
- 公的機関法テラス
相続や遺産分割について法的相談の入口を探したいとき。
相続登記の義務化、3年以内の申請、過料の可能性、遺産分割後の登記などを確認したいとき。
- 公的機関家庭裁判所
遺産分割調停など、相続人同士の話し合いがまとまらない場合の手続きを確認したいとき。
当サイトは「相談前の整理」を担う情報メディアです。具体的な意思決定の前には、必ず該当領域の専門家・公的機関にご相談ください。
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まとめ: 相続でもめる家は、お金より「見えない不公平」でこじれやすい
相続税がかからない家でも、相続は起きます。実家一つ、預金少し、介護の不満。それだけでも、家族は十分もめます。
だから、「うちは大丈夫」と思いすぎないほうがいい。
もめないために大事なのは、家族を疑うことではありません。疑わなくて済むように、見える形にしておくこと。
まずはそこからでいいのだと思います。
免責事項
この記事は、相続、遺産分割、相続税、相続登記、実家不動産、介護負担、生前贈与、親族間トラブルに関する公的・公開情報とネット上の声の傾向を整理した一般的な情報です。 個別の法的判断、税務判断、相続分、遺言の有効性、遺留分、相続税額、登記義務の具体的判断を示すものではありません。 相続税、相続登記、遺産分割、遺言、生前贈与、使い込み疑い、親族間トラブルがある場合は、税理士、司法書士、弁護士、行政書士、法テラス、家庭裁判所等に相談してください。
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