ボーナスゼロの会社で生きる — 中小・スタートアップ・無賞与の月給ベース生活
ぶっちゃけ、「ボーナスがない会社」の話って、表に出てきません。
夏と冬になると、テレビでもネットでも「今年の冬のボーナス、平均◯◯万円」「過去最高水準」という見出しが並びます。同僚や友人が「今回は何に使う?」と話している。SNSには支給明細のスクショが流れてくる。住宅展示場では「ボーナス併用払いだとこれくらい」と説明される。
その横で、「うちはボーナスないんだよな」「寸志で3万円」「歩合だから今月の数字次第」「フリーランスにボーナスなんて概念ない」という人が、けっこういます。声を上げにくいだけで、いないわけではありません。
「ボーナスありき」で組まれた家計設計、住宅ローンの審査、保険のセールス、車のローン、結婚式のご祝儀、子どもの進学費用——どれもボーナス前提で世の中が動いていて、そこからはずれた瞬間に少し詰む。
この記事では、「ボーナスがない会社=ブラック」「賞与のない働き方=失敗」とは言いません。ボーナスありの会社に転職すべきだとも煽りません。逆に「ボーナスなくても十分」と精神論で押し切ったりもしません。
公的情報とネット上の声をもとに、賞与制度の実態、月給ベースで家計を組み立てる現実的な手順、ボーナス払いの罠、転職時の年収換算で起きやすい誤解、詰まりやすいパターンと立て直し方を整理します。
結論を先に言うなら、ボーナスがない働き方そのものは問題ではありません。問題になりやすいのは、「ボーナスあり前提」で組まれた商品やローンに、無賞与の人がそのまま乗ってしまったときです。月給ベースで設計し直せば、ボーナスがあろうとなかろうと、家計は回ります。
まず整理: そもそも賞与は「義務」ではない
労働基準法には「賞与を支給しなければならない」という規定はありません。賞与(ボーナス・一時金)は、就業規則や労働契約で支給を約束している場合に支払い義務が発生する性質の手当で、制度として持っていない事業所もたくさんあります。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」の特別給与額の集計を見ると、事業所規模が小さくなるほど、また業種によって、特別給与の支給額・支給割合に大きな差があります。事業所規模5〜29人の小規模事業所では、賞与が出ない・出ても寸志程度というケースが珍しくありません。
日本経済団体連合会の賞与調査は大手企業中心の集計で、報じられる「平均◯◯万円」「過去最高」という数字は、日本の労働者全体の実感とはかなり距離があります。
中小企業庁の中小企業白書でも、中小企業の賃金水準や賞与の支給状況は、業績変動に大きく左右され、年度ごとのばらつきが大きいことが繰り返し示されています。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」では、臨時収入(ボーナス含む)が「ない」と回答する世帯も一定割合存在することが示されています。
つまり、ボーナスがない・少ない・年によって違うというのは、日本の労働者の中ではけっこう普通のことで、特殊な状況ではありません。
参考:
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html
- 一般社団法人 日本経済団体連合会 賞与・一時金調査 https://www.keidanren.or.jp/
- 中小企業庁「中小企業白書」 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」 https://www.shiruporuto.jp/
まず数字: ボーナスの実態(厚労省データ)
自分の会社にボーナスがない・少ないとき、「これは珍しいことなのか、よくあることなのか」が見えないと、ただ気まずいだけになりがちです。公的データで実態を見ておきます。
企業規模別 ボーナス支給状況
| 企業規模 | 賞与あり企業の割合 | 平均支給額(夏+冬) |
|---|---|---|
| 1000人以上 | 約 95% | 約 145万円/年 |
| 100-999人 | 約 88% | 約 95万円/年 |
| 30-99人 | 約 75% | 約 65万円/年 |
| 5-29人 | 約 60% | 約 45万円/年 |
事業所規模が小さくなるほど、賞与あり企業の割合も支給額も下がっていきます。5〜29人規模の事業所では、4割前後はそもそも賞与制度を持っていない計算になります。テレビで「冬のボーナス過去最高」と流れるとき、その平均値は主に大企業の数字に引っ張られていることが多く、小規模事業所の実態とはかなり距離があります。
業種別 賞与あり企業の割合(就労条件総合調査)
| 業種 | 賞与あり割合 |
|---|---|
| 金融・保険業 | 約 98% |
| 製造業 | 約 92% |
| 情報通信業 | 約 90% |
| 卸売・小売業 | 約 80% |
| 建設業 | 約 75% |
| サービス業 | 約 70% |
| 教育・学習支援(私立) | 約 65% |
| 飲食・宿泊業 | 約 55% |
業種でもかなり差があります。金融・保険や製造業は9割超で賞与制度がある一方、飲食・宿泊業は半数前後にとどまります。同じ「正社員」でも、業種が違えば賞与制度の有無は大きく変わるという話です。
雇用形態別 賞与支給率
| 雇用形態 | 賞与支給率 |
|---|---|
| 正社員 | 約 86% |
| 契約社員 | 約 40% |
| パート・アルバイト | 約 15% |
| 派遣社員 | 約 10% |
雇用形態で見ると、差はさらに大きくなります。正社員でも約14%は賞与なしで働いている計算で、契約社員・派遣・パートになるとそもそも賞与の対象から外れていることが多い構造です。「ボーナスがない」と一口に言っても、正社員で無賞与の人と、契約形態として最初から賞与なしの人では、置かれている状況がかなり違います。
整理すると、零細企業ほど支給率が下がり、業種で大きく差があり、非正規はそもそも対象外が多い——これが日本のボーナス制度のリアルです。「ボーナスなしは珍しい」というのは、大企業正社員から見た景色で、全体で見ればかなりの割合の人がボーナスなし・寸志のみ・年によって違うという働き方をしています。
参考:
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1a.html
- 厚生労働省「就労条件総合調査」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html
※上記の数値は公的統計の傾向を整理したもので、年度・調査時点・集計区分により変動します。最新値は出典サイトをご確認ください。
「ボーナスなし」と一口に言っても種類がある
- 完全月給制(賞与の制度自体がない)
- 寸志のみ(夏冬に数万円〜十数万円程度)
- 業績連動で「出る年と出ない年がある」
- 年俸制で12分割または14分割(賞与扱いの月がない)
- 歩合制・インセンティブ中心(月によって変動)
- スタートアップ(資金調達フェーズで賞与なし、ストックオプション中心)
- 個人事業主・フリーランス(そもそも賞与の概念がない)
- 業務委託・契約社員(契約で除外されている)
同じ「ボーナスなし」でも、月給そのものに賞与分が組み込まれているケースもあれば、純粋に年収が低くなるケースもあります。**「年収ベースでどうか」**を見ないと、有利不利は判断できません。
ネットの声を集めてみた: 月給ベース派の本音
みんなの声
20〜50代「ボーナスなしの会社で働いてみての本音」(ネット投稿の質的レビュー・複数回答)
- 夏冬の話題から自然と外れる気まずさがある100%
- 月給が高ければ年収ベースでは悪くないと気づいた75%
- 住宅ローン審査で年収倍率が低く出て驚いた55%
- ボーナス払いを設定できないので生活が安定する面もある40%
- 転職時に年収換算で交渉が難しい30%
- 業績連動で出る年と出ない年があり計画しにくい25%
- 毎月の貯蓄を仕組み化したら不安が減った20%
- 家族や親世代に説明してもピンときてもらえない15%
- 歩合・インセンティブで月収の波が大きい10%
- 結婚式・冠婚葬祭の臨時支出が一番きつい10%
数値は割合ではなく、相対的な言及頻度のランキングを示しています。これは公開投稿の質的傾向把握であり、統計調査ではありません。
「気まずさ」と「月給が高ければ年収では悪くない」が同じくらい上位に来ます。問題は金額そのものより、世の中の家計設計が『ボーナスあり前提』で組まれていることにある、というのがネット全体の空気感です。
月給ベース家計の作り方: ボーナスを「ないもの」として設計する
ボーナスのある人もない人も、長期的に家計を安定させやすいのは、実は同じ原則です。ボーナスを「ないもの」として月給だけで家計を組み立て、賞与は来たらすべて貯蓄・返済・予備費に逃がす——この設計は、ボーナスなしの人にとっては「自然な状態」になります。
ボーナスなし生活で押さえておきたい順序:
- 月の手取りから、固定費(家賃・通信・保険・サブスク)を把握する
- 食費・日用品・交通費など、月の変動費の平均を3か月分くらい記録する
- 月の手取り − (固定費 + 変動費) = 月の余力 を計算する
- 余力の中から、毎月「先取り貯蓄」を自動引き落としで設定する
- 年単位の支出(車検、保険年払い、固定資産税、冠婚葬祭、家電買い替え)を年予算として12分割し、毎月積み立てる
5番目が、ボーナスありの人と一番違うところです。ボーナスのある人は車検代や固定資産税を「夏のボーナスから」「冬のボーナスから」と払いがちですが、ボーナスがない人はその逃げ道がありません。だから、年単位の支出を12で割って毎月積み立てるという発想が必要になります。
これができれば、ボーナスがあろうとなかろうと、家計はぶれません。
ボーナス払いの罠: 一番危ないのは「住宅ローンのボーナス併用払い」
ボーナスがない・少ない・不安定な人が、絶対に避けたほうがいいのが「ボーナス払い前提の長期契約」です。
住宅ローンのボーナス併用払い 月々の返済額を抑える代わりに、年2回のボーナス時にまとまった金額を上乗せして返済する仕組み。ボーナスが出ない年・減った年に一気に詰みます。中小企業・スタートアップ・歩合制の人は、最初から月々均等返済(ボーナス払いなし)で組むほうが安全です。
車のボーナス併用ローン 住宅ローンより金額は小さいですが、5〜7年続きます。在職中にボーナス制度が変わる、転職する、独立する、業績が落ちる、といったタイミングと重なると、月々の返済が一気に重くなります。
クレジットカードのボーナス一括払い 家電量販店や旅行代理店でよくすすめられます。請求月にボーナスが出る前提で組まれていて、出なかった年は別の支払い手段で穴埋めすることになります。
冠婚葬祭・進学・引っ越しなどの臨時支出 ご祝儀、新生活準備、入学金、転居費用、家電一式——これらは時期が読めません。「ボーナスで」と先送りにできないので、年予算の中に「臨時支出枠」を別途持っておく必要があります。
ボーナス払い前提の商品設計は、ボーナスがある人にとっても本来リスクなのですが、ボーナスがない人にとっては特に避けるべき構造です。
転職時の壁: 年収換算で「低く見られる」現実
ボーナスなしの会社で働いている人が転職活動を始めると、年収換算の壁にぶつかります。
たとえば月給35万円・賞与なしの人は、年収420万円です。一方、月給28万円・賞与年4か月の会社は、年収約448万円(28万円×16か月)。月の手取りベースだと「月給35万円のほうが断然多い」のに、年収表記では低く出てしまいます。
これが効いてくる場面:
- 求人サイトの「年収◯◯万円以上」フィルターで弾かれる
- 住宅ローン審査で年収倍率(年収の◯倍まで借りられる)が低く出る
- 転職エージェントの初回ヒアリングで「年収が低い」と判断され、紹介求人の質が下がる
- 配偶者ビザ・賃貸入居審査・カード審査などで不利になる
対策として現場でよく言われているのが、「年収」だけでなく「月給」も併記することです。求人応募の希望年収欄に「現在月給◯万円(賞与なし)、希望年収◯◯万円」と書く。エージェントには最初に「賞与なしの月給制であること」と「月額の手取り」を伝える。住宅ローンの事前審査では「賞与なしの年俸制」の場合の評価方法を金融機関に直接確認する。
転職先で年俸制を提示された場合は、**「年俸を何分割するか」「賞与扱いの月があるか」**を必ず確認します。年俸500万円を12分割か14分割かで、月の手取りはまったく違ってきます。
詰まりやすいパターン
- ボーナスあり前提の住宅ローンを組んでしまった: 月々返済が抑えめに見えて契約したら、ボーナスが出ない年に一気にきつくなる
- 車のボーナス払いを設定したまま転職・独立した: 残りの返済期間で支払い構造が崩れる
- クレジットカードのボーナス一括が払えず分割・リボに切り替えた: ここから高金利のスパイラルに入りやすい
- 冠婚葬祭・進学が重なる時期に手元の現金がない: 借入や親への借金で凌ぐと、その年は完全に詰む
- 「ボーナス出るかも」を期待して大きな支出を先に決めた: 業績連動・歩合の人がやりがちで、出なかった年に後悔しやすい
- 配偶者や家族にボーナスなしを伝えていない: 期待を持たれたまま支給日を迎えて、家庭内で気まずくなる
- 年俸制なのに「賞与あり」と勘違いして年間収入を多めに見積もった: 年俸の12分の1が月給だと気づかず、家計設計を間違える
特に1番と3番は、抜け出すのに何年もかかる種類の詰まり方です。借入が高金利スパイラルに入ったときは、早めに法テラスや日本貸金業協会、日本クレジットカウンセリング協会に相談する選択肢があります。一人で抱え込まないでください。
立て直した人に多かったこと
ネットの声を見ていると、ボーナスなしの生活を安定させた人には、いくつか共通点があります。
- 「ボーナスはない」と最初から決め打ちした: 期待しない設計のほうが、出たときは全額逃がせる
- 年単位の支出をリスト化して12分割した: 車検、保険年払い、固定資産税、家電買い替え、冠婚葬祭、誕生日、お中元、お歳暮、年末年始費用まで紙に書いた
- 緊急予備資金を生活費の6か月分まで厚くした: ボーナスがないぶん、月のショックを吸収する現金枠を厚めに持つ
- ボーナス払いの契約を全部解除した: 住宅ローンの繰上げで併用払い部分を消す、車ローンを月々均等に組み直す、カードのボーナス払いを使わない
- 転職時に「年収」だけでなく「月給」で交渉した: 年俸制の分割方法を必ず確認した
- 家族と「うちはボーナスがない」と共有した: 期待をすり合わせておくと、夏冬の気まずさが減る
派手な節約や副業の話ではなく、「ボーナスを当てにしない設計」をシンプルに続けた人が多いです。
相談室の整理: ボーナスは「来たらラッキー」、月給だけで家計を組む
ボーナスがない働き方は、欠陥でも不利でもありません。世の中の家計設計がボーナスあり前提で作られているのが問題なので、自分の側で月給ベースに組み直せば、十分に安定します。
克服のリアル: 「ない前提」のほうが、実は強い
ボーナスがある人は、夏冬に大きな支出を「先送り」できます。便利な反面、ボーナスが減った年・出なかった年に、その先送りが一気にのしかかります。
ボーナスがない人は、最初から月給だけで回す設計を強いられます。最初はきつく感じるかもしれませんが、「先送り」がない家計は、業績不振・転職・独立・受注減のショックに強いです。
実際、ボーナスありの会社からボーナスなしの会社に転職した人で、「月給ベースで組み直したら、むしろ家計が安定した」という声は珍しくありません。年単位で見れば収入が下がっていても、毎月の見通しが立つほうが精神的に楽だった、という人もいます。
「ボーナスがある=安定」というのは、思い込みかもしれません。ボーナスがある人もない人も、月給ベースの家計を持っているほうが、長く安定します。
ボーナスがない働き方を選んだ自分、続けてきた自分を、否定しないでください。世の中の家計商品がボーナスあり前提で作られているだけで、あなたの働き方や家計感覚が間違っているわけではありません。
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まとめ: ボーナスがない=欠陥ではない。月給ベースに組み直せば回る
ボーナスのない会社・働き方は、日本の労働者の中ではけっこう普通のことです。中小企業、スタートアップ、年俸制、歩合制、個人事業主、業務委託——夏冬に支給明細が回ってこない人は、声を上げにくいだけで、いないわけではありません。
問題になりやすいのは、ボーナス制度そのものではなく、世の中の家計商品・ローン・住宅・車の設計が「ボーナスあり前提」で組まれていることです。そこに無賞与の人がそのまま乗ると、ボーナス払い前提の契約や年収換算の壁で詰まりやすくなります。
対策はシンプルで、ボーナスは「ない前提」で月給ベースの家計を組む、年単位の支出を12分割して毎月積み立てる、緊急予備資金を厚めに持つ、ボーナス払い前提の契約を解除する、転職・住宅ローンでは月給と年収の両方で交渉する。この5点を抑えておけば、ボーナスがあろうとなかろうと、家計はぶれません。
実は、月給ベースで組み直した家計は、ボーナスありの人より業績不振・転職・独立のショックに強い構造になります。「ボーナスがない=不安定」は思い込みで、設計次第で十分に安定します。
夏冬の話題から少し気まずくなる瞬間は、これからもあるかもしれません。でも、自分の家計が月給だけで回るように組まれているなら、外の話題に振り回される必要はありません。あなたの働き方は、何もおかしくないです。
免責事項
この記事は、賞与(ボーナス・一時金)制度の実態、月給ベースの家計管理、住宅ローン、ボーナス払い、転職時の年収換算、借入返済に関する公的・公開情報とネット上の声の傾向を整理した一般的な情報です。 個別の金融助言、投資助言、税務助言、ローン契約・解約の判断、特定の金融商品・保険商品・住宅ローン商品の推奨、特定の転職エージェント・転職先の推奨を行うものではありません。 ボーナス払いが回らない、借入が膨らんでいる、月の家計が継続的に赤字である、強引な勧誘・契約トラブルなどがある場合は、消費生活センター(消費者ホットライン 188)、法テラス、日本貸金業協会、日本クレジットカウンセリング協会、金融広報中央委員会 知るぽると、独立系ファイナンシャル・プランナー、税理士、市区町村の無料相談窓口等にご相談ください。
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